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その他の悩みに関する読むアドバイス

トピックス
アメリカ帰りですが、日本の会社での人間関係がうまくいかない
質問
私は6歳のとき、父の仕事の関係でシカゴに移りました。両親は数年前に日本に帰国しましたが、私はそのままアメリカの大学に通いました。半年前から日本で、外資系の会社でインターンとして働いています。外資系ですが、同僚や上司たちはほとんど日本人です。両親が日本にいるので、ここでの仕事や生活がうまくいけばいいと思っているのですが、最近は無理な気がしています。小さなことですが、女性社員たちと食事に行ったりすると、なぜか、私がグループの中心になってしまい、「Aさん(私)がこのレストランに行きたいらしいから」「Aさんがお疲れのようなので(今日は解散しましょう)」というような感じで私のせいにされてしまうのです。電話にしても、「あなたもお忙しいでしょうから」と言われて切られることがあります。私はまだ話がしたかったのに、もしかして私は「空気が読めない人?」と思ってしまい落ち込みます。アメリカでは友達はたくさんいたし、相談もよく受けていました。日本人の女性たちは、一対一で話すと意見はちゃんとあるのに、ミーティングやグループになると、みんな黙ったままです。それなのにミーティングの後で文句を言ったりします。日本人が怖いと思うようになりました。私は、日本社会には適応できないのでしょうか?

回答
「社会人」の難しさ
アメリカでバイリンガルに育ち、帰国後、日本で働き始めたけれど、違和感を覚えアメリカ社会に戻る若者は少なくないようです。日本では、「社会人」という言葉があるように、学生を終え働き始めると、その取りまく環境、期待される言動は激変します。上下関係、本音と建前、相手を敬う・自分をへりくだらせるなど、より一層厳しいものになるのです。普通に日本で生まれ育った若者たちでさえ、適応するのに大変苦労するものです。外国で育ったあなたなら、なおさらです。今までの自分のやり方が通用しなくて当然、「社会人」が理解できなくて当然と思ってください。異文化で成功するには、自分をある程度しっかり持ちながらも、その状況に応じてカメレオンのように、言葉から行動、考え方まで変化させる能力が必要です。グローバル化する現代、日本的なやり方だけでは日本人もやっていけません。そのやり方を理解し、日本人ともうまくやっていきながら、アメリカでも通用する能力を持っている人は、日米をつなぐ大変重要な人材なのです。あなたのような人が、「社会」に出たばかりで「日本で通用しない」と諦めるのは、もったいないと思います。

「社会人」マナーのルール
まずは、「社会人」のマナーを学びましょう。郷に入っては郷に従えということです。「社会人」の中で女性は、役割や言動に「やさしさ」「和を重視」することを期待されることがあります。自己主張せず、他人の意見に合わせるよう求められることがあるのです。そのため、気持ちを素直に表すあなたが、いつもグループの中心となってしまったのです。それでは何も決まらない、と思うかもしれませんが、観察してみると、「どうしましょう?」「どこにしましょう?」と数回繰り返しながら、年齢やポジションが上の人が決めたり、何となく順番で決めたりとやり方があるものです。アメリカでは、発言しないのは何も意見がないと考えますが、日本では、聞かれるのを待っている、順番を待っている、という感じです。「どこがいい?」と聞かれたら、「私はどこでもいいです。あなたはどこがいいですか?」「この前は私の行きたい所だったので、今度は○○さんの行きたい所で」など、相手の気持ちを聞いて、相手に合わせる練習をして、どういう展開になるのか観察してみましょう。

また、日本では、お世話になっているわけでもない人に対して、会話の初めに「いつもお世話になっております」と言ったり、その人が疲れているか分からないのに、「お疲れさまです」と言ったり、「社会人」特有の会話のマナーがあります。電話を掛けてきた人が自分から「あなたもお忙しいでしょうから」と言って、会話を終わりにするのは、その人がそろそろ電話を切りたいからです。相手を敬う文化では、アメリカのような「私、もう行かなくちゃ」というような終わり方はぶしつけなので、「あなたもお忙しいでしょうから」と相手を思いやる形で終わるのです。そういうマナーを知り使いこなせると、職場での人間関係もよりスムーズにいくでしょう。

ミーティングのときに意見を言わないのは、「出る釘は打たれる」で表される、目立つことを嫌う習性と「女性は控えめであるべき」というこれまでの慣習からでしょう。日本人は、公では意見を言わず、個人的に意見を交換する傾向があります。同僚との飲み会が多いのもその表れです。日本人が限られた資源と領土で生き抜いていくには、それぞれが役割と節度を持って協力し合う必要があり、相手を立て、気持ちを察し、正面衝突しないでやっていくことが社会を迅速に円滑に動かしていく有効なシステムだったのでしょう。異文化・人種が入り交じり、新しい土地・資源を開拓してきたアメリカとはやり方が違うのも納得できます。アメリカ的に見ると、「怖い」と思うかもしれませんが、生き抜いていく知恵だったと思えば受け入れることもできるのではないでしょうか。じっくり観察してみると、和を大切にしながら立ち回っていくことで、社内がうまく動くことがあることにも気付くでしょう。

日本的コミュニケーションであなたの強みを生かす
アメリカで育ったあなたには、日本しか知らない人には見えないものが見え、日本の組織の利点弱点に対して、客観的な意見が述べられるはずです。あなたのそういう能力を組織に生かすことができれば、それが将来のあなたの居場所になっていくでしょう。しかし、そういう強みも、日本人の集団心理の中では、「アメリカ帰りだから」「あなたは違うから」と浮いてしまい拒否されてしまいます。そこを乗り越え、自分の居場所を作るには、「まず、自分の『アメリカ』を抜き、日本に溶け込む努力をする」、それから「あなただから見えるもの、あなただから分かることを、日本のコミュニケーション方法で出していく」ことが重要です。日本人と上手にコミュニケーションができ、かつ広い視野と深い理解力を持ち、外からの新鮮な目で組織を見られる人、そんな逸材になれる人だと期待しています。

(スペースアルク 2013年9月掲載)


食べ過ぎてしまいます
質問
カレッジに通う留学生です。食べたい衝動が襲ってくると夢中で食べ、その後に吐くという癖がついてしまいました。体に悪いことも分かっているし、心から止めたいと思っているのですが、食べたい衝動は大きく、また、食べ過ぎた後の気持ち悪さが耐えられず吐いてしまいます。人に言えないこんな問題を抱えた自分がとても嫌です。どうすればこの状態から抜け出せるのでしょうか。

回答
留学生の過食症は、ほとんどの場合、学校と人間関係のストレスや、家族や友達のサポートの欠如が原因です。特に、周りの人に気を使い過ぎる、人といると自分を出せない、勉強も人付き合いもきちんとやりたいのに自分のやっていることは十分ではないと思う、日本の家族のことを絶えず心配している、という人によく見られます。過食して吐くという行為が手軽に、しかも他人に迷惑をかけずにできるために、密かに過食で悩む学生が増えています。

解決は、まず、食べたい衝動が起こるきっかけを探ることから始まります。過食をした日に何があったのかを詳しく思い出していくのです。いつどこで、誰といて、何があったかを時間を追って記録してください。過食を起こすきっかけはひとつやふたつではないし、ストレスだけとは限りません。テストでがんばったから、何もすることがなかったから、リラックスしたかったから、などの場合もあるのです。また、吐くきっかけも探ってください。吐かなかった日と吐いた日、何をどのくらいどんな状況で食べたかを比較してみましょう。

次に、それぞれのきっかけによって、どんな感情を持ったかを思い出します。例えば、「日曜はゆっくりしようと思っていたのにパーティに誘われて、夜遅く帰ってから過食をした」とすると、きっかけは「気が乗らないパーティに行ったこと」で、感情はおそらく、「断れなかった自分への苛立ち」だったり、「パーティに行った後悔」というところではないでしょうか。

そして、これからが肝心のステップです。上の例で言うと、今度行きたくないパーティに誘われたときの対策を考えるのです。断り方を文章にしてみる、顔だけ出して帰る、あらかじめその日は行けないと言っておく、などの練習をすることで、そのきっかけで過食は止められるのです。時間はかかっても、ひとつずつのきっかけに関して感情とその対処策を考えることで、過食以外の行動に変えていくことができます。

最後は、「自分を大切にする」ということです。留学してきたあなたにはきっと夢や目標があるはずです。しかし、今のあなたは自分以外の人達や状況に左右されているのではないでしょうか。 摂食障害を克服して留学を終えた人はたくさんいます。決してあきらめず、誰かに悩みを打ち明けたり、医者に相談してみましょう。カウンセリングに行って、上記のような考える作業をするのもひとつの手ですよ。


スポーツでのプレッシャーに打ち勝ちたい
質問
ゴルフはメンタルなスポーツだと聞きますが、どうしたら精神的に強くなれるのかわかりません。僕は今年の春からレッスンを受け、打ちっぱなしにも行き、十分自信をつけたつもりだったのに、実際のコースでは、初めのホールでつまずくとその後はなし崩しで、結局、今年も去年と同じような結果になってがっかりです。特に同僚と行くと、他の人たちのことが気になって集中できず、そんな自分に腹が立ってきます。どうすれば、プレーに集中できるのでしょうか。

回答
スポーツ心理学の研究では、トッププレーヤーたちは、以下に挙げられるような特殊な能力を備えていることが知られています。また、プロのスポーツ選手は、メンタルな能力を養うために、催眠療法を利用することがあります。
  1. 今するべきことに集中し、他のことをすべて無視できる能力がある
  2. 成功したいという強い欲望がある
  3. 自分に厳しい(例:「勝ったけれど、あれは自分は満足できるプレーでなかった」など)
  4. 時間の感覚を変えられる(例:「あの日の18ホールはあっという間だった」「スローモーションのように完璧なスイングができた」)
  5. 心の中でベストの状態でプレーしている自分を想像できる(例:「もう何百回も心の中でプレーしてきたので、今日それを現実化しただけ」)
  6. 成功することへの躊躇がない
  7. 成功するための戦略が分かっている
催眠を使わなくても、集中力を高める方法があります。ゴルフは大抵、他人が見ている中でプレーしなければなりません。他人に見られていることから発生する緊張を、逆に利用して、集中力を高めるイメージトレーニングがあります。まず、あこがれのプロを1人選び、その人のプレーをビデオでよく観察してください。スイングだけでなく、雰囲気、顔の表情、歩き方、アプローチの仕方など、彼が醸し出しているオーラをしっかり感じてください。

そして、次に彼になりきってみるのです。彼になったつもりでゴルフをすることで、どんな気持ちがして、何を考えて行動しているかを、身体全体で経験してみるのです。練習で上手にできることと、本番で上手にできることは、別の話です。後者は「上手な人である」ということが何かを、身体で、感覚で、雰囲気で知っている人です。ですから、あなたが「自分はすでに上手なプレーヤーである」と信じて行動する練習が必要なのです。

次に、いつもあなたが緊張し始める時や場所を思い出してください。あなたが緊張しだしたら、その瞬間に、その場面は忘れて、あこがれのプロと同じプレーをしているベストの自分をイメージするのです。この練習を繰り返すことで、実際のゴルフ場で自分の精神状態を、緊張からベストの状態へ変えることができます。そして、今度はちょっと違うアプローチで、来年のシーズンに備えてください。


憂うつでやる気が出ない
質問
最近、何となく憂うつで、何をするにもやる気が出ず、休日はもぬけの殻で1日中ごろごろ寝ていて、部屋は散らかり放題。夫や子どもに話しかけられても返事ができないほど疲れを感じます。好きだった音楽にも興味がありません。仕事は続けていますが、落ち込んで仕事が手に付かず、極端に無愛想になったりしてしまい、このままではレイオフされるのではと心配です。以前は、忙しい毎日で楽しかったのに、こんなグータラな自分が情けないです。


回答
あなたの心は助けを求めているようです。目の前にある「するべきこと」のみをこなしていて、本当にやりたいことをしていない、本来の目的を見失っている、また、自分をごまかして生きている時、心は「なんとかして」と体の症状を伴って訴えてきます。そういった心のサインを見逃さずに自分を見つめなおすことが大切です。まず、なぜ自分が憂うつなのかを全部書き出してみましょう。何となく気分が落ち込む、から始まり、その理由は、どうしてそうなったか、本当の気持ちは……というように次々に質問を投げかけてください。誰にも見せる必要はないのだから、ネガティブな内容でも恐れず、ありのままを書いてください。もやもやとした気持ちを言葉にすること、それ自体で自分の置かれた状況、抜け出すための道がわかってきます。

また、信頼できる友達と語り合うことも大切です。海外で暮らし仕事をしていると、「常に気を張っていて本音の言えない状態」が続きます。ぶちまけた話ができてうっぷんを晴らせる友達や場所(喫茶店や飲み屋など)が少なく、気がつくと孤独で疲れている自分がいます。誰かと「やっぱりそうだよね、自分だけじゃないんだ」と理解しあえると元気も出るし安心もします。あの人ならわかってくれるかも、という人を見つけて話してみてください。海外で長く暮らすには、いい友達を持つことは絶対に必要です。

「休む」というのも肝心です。疲労がたまっていると、どうしてもマイナス思考になってしまいます。思い切って「セルフケア休暇」をとってみたらどうでしょうか。病気の時休むのと同じで、心が疲れているから休むのです。昼間は仕事、帰って家事・子育てでは自分の時間はまったくないでしょう。誰のためでもなく自分のために2、3日好きなことをする、ボーっとする、何もしないのも、とてもリフレッシュになりますよ。

専門家に助けを求めるのも一つの案です。日本人は体の偏重はオープンに人に話すし医者にも行くのに、心の変調には偏見があり、治療も援助も求めようとしません。そういう状態にある自分を恥ずかしく思ったり、一人で治そうと余計引きこもってしまったり……。うつ状態は誰にでもあります。そしてうつは治る病気です。心のカゼはこじらせると体のカゼと同じで、放っておくと悪化するか慢性になってしまいます。早く治して元気に活き活きと暮らした方が、体も心も重く暗い状態を長く続けるよりずっと健康的でいいと思いませんか?


もっと自分に自信を持ちたい
質問
20代前半の男性です。留学でアメリカに来ましたが、昔からシャイな性格だったのが災いして、こちらに来てからも人と話すことが苦痛です。英語もあまり聞き取れないため、会話をするのが辛く、恥ずかしく、特に女性が苦手です。このままでは、英語の習得どころかガールフレンドもできません。どうしたらもっと自分に自信を持って堂々とすることができるのでしょうか?

回答
英語が通じない、うまく話せないのは惨めで辛いですよね。ついつい英語で話す場ではおとなしくなってしまったり、相手の話を聞くばかりになってしまいます。ここで考えてほしいのは、あなたの「留学の意味」です。何を求めてアメリカに来たのでしょうか。ほとんどの人は、何かを学びたい、成長したい、視野を広げたい、人生を変えたい、などの目標をもって渡米します。でも現実の留学は時間がかかり、自分の進歩は遅く、焦りと自己嫌悪の毎日で、その上言葉の問題でプライドは傷つきっぱなしです。多くの日本人にとって、恥をかくこと、プライドを傷つけられることは耐えられないことです。

留学で得たいものを旅の目的地だとします。そこへ到達する前にはいくつもの障害物――山、川、海、沼、また悪天候などがあり、それらをクリアするためには回り道や徒歩でしか進めないこともあるし、嵐の日にはただそれが過ぎるのを待つしかない時もあります。障害物や嵐の真っ只中で、「ああもうだめだ、やっぱり自分には無理」とあきらめて戻るか、それとももう一度地図を見直して「いや、これは通らなければならない道」とわりきって進むか二つのチョイスがあります。この旅の上での一つ目のアドバイスは「プライドの保留」です。あなたが道なき山を恐る恐る登っている時、大雨の中でただ耐えている時、泥だらけでびしょぬれで、かっこいいわけはありません。目的地に着いて、英語をアメリカ人と対等に話し、学位が取れて、ガールフレンドがいる自分になった時、かっこよければいいのです。それなのに、恥をかく、いちいち聞き返される、などのためにあなたの目的への旅を放棄することがあっていいのでしょうか?

二つ目のアドバイスは、「自己イメージを考え直す」です。今のところ、あなたは「自分がシャイで自信がない」と思い込んでいます。自分が自分に与える言葉はとてもパワフルです。どの分野でも成功した人たちは「できると思った、成功した姿を思い描いていた」と言います。あなたの場合、英語を習得してガールフレンドがいる――そういう自分の姿をイメージしなければなりません。失敗した時傷つかないように、「昔からこうだったし、どうせできないんだ」という人もいます。自分を変えたくて留学してきたのに、こういう言葉を自分に言い続けるのは不思議だと思いませんか? 成功していく途中での失敗、挫折、敗北は一時的なもので、前述の障害物と同じです。倒れたらまた起き上がって進めばいいのです。

本当にかっこいい男は、恥をかかない人ではありません。ボロボロになっても失敗しても、また立ち上がって目的に向かって進み、そこに到達していく人ですよ。


2カ国目の海外生活で引きこもりに
質問
昨年夏にフランス人と結婚し現在南西フランスで生活しています。20代の時にアメリカに留学し言葉の壁で引きこもり気味になりました。そして今もまた同じ状況になりつつあります。最初のころは夫の妻として社交的に外に出るようにしていたのですが言葉が全く分からず常に孤独を感じていて、最近はそれにストレスが重なり夫に八つ当たり、けんか、そしてさらに孤独感という悪循環になっています。 こんな状況が重なり夫も疲れてきているのか週末になると近所の友達とお酒を飲み始め、夫も彼の友達も誘ってはくれるのですが、どうせ行っても話が分からないからつまらないと思ってしまい、一人でインターネットをして夜を過ごすことも何度もあります。彼と結婚するのを決めたのは自分だし、海外で生活することの大変さは心得ていたつもりでしたが、やはりつらいです。

回答
愛する人と人生を共にするためとはいえ、言葉の通じない異国に住むことは孤独なものです。夫は自国に住むわけですから、孤独感やストレスを共有することはできません。あなたも海外生活2回目ということで、十分に自分の状況、やるべきことを分かっているようです。だからこそより葛藤し、一層つらい思いをしているのでしょう。

海外生活の大変さは心得ていて、自分で結婚することを決めたのに、前回と同じように引きこもり気味になる、夫との関係も悪循環になっているというのは、ただ単に海外生活だけの問題ではないかもしれません。あなたの日本での生活はいかがでしたか? 家族や友達など人間関係はどうだったでしょうか。仕事や趣味などは? 海外に出てくる人の中には、日本での生活には満たされていなかったのに、その問題には向き合わず、意識的または無意識的に場所を変えることで問題を解決しようとする人もいます。残念ながら、場所を変えても問題は変らず、言葉や慣習が違うため、より大きなストレスを生みます。

例えば、海外で語学学校に行き始めた人でも、そこでの日本人との人間関係に苦しむ人、言語習得後のやりたい夢を見いだせず、やる気を無くしてしまう人、日本で不登校がちであったため、基礎学力がなく勉強に壁を感じてしまう人など、それまでの生活が大きく影響することは多々あります。まず、自分の過去を振り返ってください。楽しかったこと、つらかったこと、悔しかった思い出等、印象に残ることを年表のように書き出してください。そうすることで、日本での問題や、やり残したことも見えてきます。例えば、人付き合いがもともと苦手で、職場の人間関係などで悩んだことがあるというなら、自分は本当はどうしたかったのか、どうすべきだったのかなどを書き出してみてください。自分の気持ちを人に伝える必要性など、課題が見えてくるかもしれません。人間関係についての本を読んでみてもいいでしょう。もしも何か複雑な問題を抱えているようなら、カウンセラーとそういった作業をするのも役立ちます。

加えて、結婚して異国に住み、あなたが一人の大人として満たされて生活するためには、夫の妻としてのポジションだけではなく、あなたという独立した個人のポジションが必要となります。あなたの友達、趣味、仕事など、「自分の世界」を作らなければなりません。それは、夫がどんなに協力的でも、あなたの意思と努力がなくては築けません。夫と結婚しフランスに住むと決めた時に、何か、自分の将来のビジョンのようなものはありましたか? 自分史年表を作る過程で、自分が輝いていた時があったら、その理由を書き出してください。これからの自己実現の参考になるはずです。また、夫と出会い、恋愛し、結婚して異国に住むことを選んだ時を振り返ることで、初心に戻り、彼と築きたかった新天地での結婚生活を思い出すことができるでしょう。フランス人の彼を愛したのですから、もしかしたら、その文化や歴史に興味があったのかもしれません。アメリカ留学もしていたということで、いろいろな国の人や文化に接することが好きな方なのかもしれません。興味がわけば、趣味や仕事の世界も広がります。

どんな人間にも向かい合うべき人生の課題や悩みがあります。それにどれだけ真剣に向かい合ったかで、人生の充実度も違ってきます。異文化生活では、自分をよく知り自分の世界を持つことが、より一層重要になってきます。あなたの今の孤独でつらい経験は、これからの人生をより充実した豊かなものにする機会だと考えましょう。異国になじむには時間がかかります。焦らず、じっくりご自分と向き合ってください。

(スペースアルク 2011年9月掲載)


自分の居場所がなく孤独
質問
やっと子どもたちも一人立ちし、ゆっくり日本を楽しもうと里帰りしたところ、実家の周りは様変わりし、どこに行っても人込みで息苦しくなり、まるで外国にいるような気がしてとてもショックでした。日本の友達や家族ともあまり話が合わず、かといってアメリカに気を許せる友達がいるわけでもなく、私には人とうまく話せる能力がなくなってしまったのではないかとまで考えてしまいました。夫も子どももアメリカにいるので、私もずっとここで暮らすことになると思いますが、このままだとどこにも居場所がないようでとても淋しく孤独です。


回答
人は「自分の居場所」をどんなふうに感じるのでしょうか? 自分の国籍や文化、言語があるところ、故郷、親や家族、友達のいるところ、仕事ややるべきことがあるところ、自分らしく生きられるところ、好きな場所など、人によっても人生のタイミングによっても居場所の意味は違います。

日本の場合は、人間関係によって居場所が決められることが多いので、アメリカに来てすぐの頃は、日本のわずらわしい人間関係がないことを楽に感じる人がほとんどです。しかし、アメリカに長く住むと、この人間関係の少なさ、薄さ、片寄りが、時間とともに淋しさや孤独を生み出すようになります。日本の家族、親戚、小中高大学時代の友達、近所の人たち、というように、何種類もの人とのつながりがあり、冠婚葬祭や同窓会など様々な集まりに参加することにより関係が長く続いていきます。しかし、アメリカに来ると、核家族のみの生活になってしまう上、友達ができても帰国したり、引っ越す人が多く、人間関係が長く続きません。また、言葉や文化、立場の違いでいい友達ができず、心から話せるのは夫と子どもだけ、という人も少なくありません。そして、こういう環境による孤立や孤独を、「自分に問題がある」と考えている人が多いのは事実です。

無事に子育てが終わったことで、今まで居場所だった核家族は形を変えてしまいました。だから、あなたは居場所を失っているのです。これからは、新しい居場所を自分で作っていかなければなりません。アメリカで暮らしてもいいし、日本に帰ってもいいのなら、あなたがどこにいたら居場所を作れるのかをよく考えてみましょう。そして、国を決めたら、今から何かを始めましょう。何でもいいから、好きなこと、やってみたかったことを始めることで、必ずそれを通じて人間関係ができていきます。孤立した淋しい自分を恥じずに、「外国で立派に子どもを育てて、やっと自分の時間が持てるようになりました」と堂々と自分の話をしてください。「ここにいるしかない」ではなく、「ここは居心地がいい」と思えるよう、これからの居場所作りが、あなたの将来をより良いものにする鍵を握っています。

(スペースアルク 2008年3月掲載)


海外移住後の孤独と不安
質問
英国在住の日本人の夫と結婚し2年がたちました。夫の海外生活は通算10年以上で言葉に問題がなく、友人も多く、仕事も順調で常に前向きです。私も日本にいたときはポジティブで友人も多く、英語も夫ほどではないですが最低限の会話はできました。英国での出産を終え、現在10カ月の子どももいますが、最近英国での生活に自信が持てなくなってきました。2年も住むと、同じような状況の日本人奥さまとも友人になりますが、本音では話せず、駐在奥さまとは、価値観や金銭感覚が違い、現地のネイティブスピーカーとは、英語に自信がないためコミュニケーションが取れず、夫の友人を紹介してもらってもその場だけのお付き合い程度、そんな生活がずっと続いていて、夫ともささいなことでけんかが多くなります。悩みを聞いてくれる家族や友人とはメールのみ。将来、子どもを現地の学校に入れることも不安で、すべてがネガティブになり、今の生活自体も嫌になってきました。子どもを連れて日本に帰国しようかと考えています。

回答
望んでいた出産と育児も、実際にやってみると、テレビや雑誌を見て想像していたような幸せいっぱいのイメージとは大きく違うものです。子どもはかわいく、幸せを感じるというのも事実でしょうが、ホルモンバランスの変化や子育ての疲労と寝不足などから、ネガティブになったり、自分では何もできない無防備な赤ん坊を育てながら、将来を考えて不安になったりということは、よくあることです。産後うつという病気もあるのです。ですから、家族や親しい友人のいない異国で一人育児に励むあなたが、海外での生活に自信が持てなくなったとしても全く不思議ではありません。海外で生活する母親なら多かれ少なかれ誰もが抱える感情でしょう。

今、早急に帰国を決断するのはお勧めしません。まず今の生活を見直してください。まとまった睡眠や栄養のある食事は取れていますか? エクササイズや自分の時間を持つことも大切です。子育てには、周りのサポートが必要です。一番のサポートは、夫であるべきです。ですが、現地での仕事も順調でポジティブな夫にあなたは距離感を感じているようです。子どもが生まれると、夫婦関係、家庭内の様子も大きく変わります。それまであまり問題がなくても、夫婦疎遠になったり、けんかが絶えなくなったというのはよくあることです。ここで、忙しいから、疲れているからとコミュニケーションを取ることをあきらめず、今まで以上に互いを理解しサポートし合ってください。子どもが生まれると経済的な責任感などから仕事に集中し始める男性もいます。子どもはかわいいが扱い方が分からないため、子どもと妻との間に入っていけず、どんどん疎外感を持ってしまう父親もいます。手伝ってほしいことははっきりお願いする、オムツ換えなど自分がやった方がスムーズに行く場合も夫にやってもらうなど、自分一人で抱えず、協力してもらいましょう。その際「オムツ換えてもらって、すごく助かったわ」とか「パパの顔を見るとよく笑うみたい」など夫婦間でも感謝や気遣いを示しましょう。あなたも子育てで疲れていたり、不安感を持っていたりするでしょうが、夫も家族を養っていかなければならないプレッシャーや不機嫌な妻に我慢するなど、ストレスをためているものです。こういう時こそ、夫婦の時間を作るなどして、コミュニケーションを取りパートナーとしての関係を強めてください。

すでに理解されているように、あなたにとって家族や友人などの人間関係もとても大切です。ただ、日本人の少ない海外生活、本音で話せるような友人を見つけるのはやはり容易なことではありません。大人になると母国でさえ、本音で話せる友人とはそう簡単に出会えないものです。子どもが幼く自由な時間もない今は、特に難しいでしょう。ですが、子どもが成長すると、プレイデート(子どもが友達同士で遊ぶこと。親同伴の場合もある)や学校行事など、より多くの人に出会えますし、自分の時間も増えるので趣味などを通して友達も見つけやすくなるでしょう。英会話をもっと上達させることも可能です。今は焦らず、知り合った人々との時間を楽しむ、情報交換をするくらいの気持ちでお付き合いを始めましょう。本音を話すのは、夫や、日本の友達や家族とメールやスカイプをする、また、定期的に里帰りや家族に遊びに来てもらうことで補いましょう。定期的に計画することで、心も落ち着くはずです。

帰国した後のことを現実的に想像してみてください。「日本だったら~できるのに……」「家族がこんな時にいたら~なのに……」と漠然と考えると、日本の生活を美化し、今の生活が嫌になるものです。しかし、日本での生活も実際には、家族やママ友などの人間関係、住宅や交通事情など良いことばかりではないはずです。子育てに追われていない冷静なときに、海外生活を決意したあなたですから、英国暮らしもそう悪くないように思えることでしょう。英国に来て、まだたったの2年。新しい土地に根付くには、時間がかかるものです。夫は10年以上住み、英語を上達させ、友人を作り、仕事をし、根を増やしていったのです。あなたも、例えば子育てサークルに積極的に参加して、折り紙を教えたり、できることで貢献するなど、時間をかけてコミュニティーに根を増やしていく覚悟は必要です。

今は一番不安になりやすいときだと思います。子どもの成長とともに、心にももっと余裕が出てくるはずです。今すぐにあきらめず、“やるだけのことはやったけど、やはり日本に住むことがベストである”と思えるまで、今の生活に向き合ってください。きっとあなたを成長させ、将来どちらに住んだとしても、今の経験を人生の糧と思える日が来ることでしょう。

(スペースアルク 2011年10月掲載)


駐在後の娘の退行と、夫の非協力に落ち込み気味
質問
夫の赴任で北米に来て3カ月がたつ2児の主婦です。まったく英語が話せず、ひきこもりが続いています。夫は私たちより半年前に赴任しています。Kindergartenにあがる5歳の長男は、社交的なのでとてもポジティブです。3歳になる長女も約1か月間長男と一緒に通園していたのですが、彼女が修了2週間前からおもらしが増え、修了間近で強制退園させられました。私が英語を話せないので、話せる日本人ママを経由して忠告の連絡があったり、通知をもらったりなど……ますます落ち込んでしまいました。何も質問に答えられずストレスがたまっています。

また、その後3歳の長女にオムツをしたら、ますますおもらしをするようになりました。さらに家の壁にクレヨンで落書きをするなど、退化しているように思えます。彼女もストレスがたまっているのかもしれません。注意しても話を聞かず、約束を破ることも多く、夫も私も彼女には怒号を浴びせるようなことをしてしまい、手をやいています。

夫は仕事が多忙で毎晩深夜帰宅。週末は健康のためにテニスへ外出し、翌日は家で仕事をしているか寝ています。ドライブに出かけたい! と言っても幼少のころにそのような経験がなかったので想像がつかないらしいです。どこに行くにもお金に対してシビアで、私がしたいことを一つ返事ではしてくれません。

顔つきも変わってしまったようで、長男に、怒っていないのに怒っている顔だと言われ、若白髪がますます増えてしまいました。こちらの文化にも合わず、軽い胃腸炎になったこともあります。まだ2カ月強ぐらいなので日本人の友達もいませんし、日本の友達との連絡も時差でなかなかつきません。

夫に子どものことで手をやいていたり、私の英会話力が乏しくて手がかかったりしているのであれば、日本に帰国したいと話したこともあります。自分でもこんなにストレスを感じるとは思いませんでした。

回答
海外駐在生活は、想像以上に厳しいものです。言葉が通じないということは、自分が幼児になったように無力に感じ情けない思いをするものです。日本では、子育ても家事もご主人の助けを借りずに、きちんとこなされてきた方なのではないでしょうか。だからこそ、自分の裁量でこなせない海外生活は、よりストレスがたまるのです。自信を無くしひきこもり気味になる気持ちも分かります。


親として何もできずに娘さんが強制退園させられ、よその母親からそれを伝えられたことは、とても悔しく情けなく感じられたに違いありません。よその母親にそんな大切なことを伝言する幼稚園側の対応にも問題があるように思えました。外国人ばかりの英語環境にいきなり入った3歳児に、おもらしが増えても全く不思議ではありません。海外生活で、子どもだって不安や恐怖心を持つもの、家族で楽しい時間を過ごす、失敗にいらいらしない、ストレスを適度に発散させてあげるなど普段以上に注意を払ってあげましょう。子どもによって適応の仕方、ストレスの出し方が違うことも忘れずに。子どもは、親の変化に大変敏感です。質問文から感じるのは、あなたも夫も日本でのような生活に早く戻ろうとして無理が生じ、それぞれに大きなストレスをためているということです。あなたの夫に対するいらだちも感じられ、夫婦がバラバラという印象を受けます。夫婦間のストレスが、娘に影響し、手をやくような行動が増えるという悪循環に陥っているようです。まずは、2人のストレスや夫婦関係に目を向けてください。


日本では、夫は仕事、妻は家庭の分散作業で、不満が少しくらいあってもうまくいくものですが、孤独な海外生活では、そうはいきません。仕事で忙しい夫も、「家族で渡米しよう」と決めた以上、英語面を含めて家庭生活をサポートすることは必須です。渡米3カ月のあなたが、英語力で自己嫌悪に陥るよりも、夫と協力してこの試練を乗り越えることに目を向けてください。夫との協力体制を作るには、まず、相手の立場を良く理解し、感謝し、支える姿勢を見せることが大切です。彼の小さな失敗やうまくいかないことには目をつむり、やってくれることに対して、あなたと子どもの喜びと感謝を言葉や表情で表すことです。あなたが、米国での生活環境に失敗しながら少しずつ慣れていくように、彼も、家庭にかかわることに少しずつ失敗しながら慣れていくのです。彼が少しでも頑張ってくれたことについては、「子どもと遊んでくれてありがとう。ゆっくりお風呂に入れてうれしかった。」「○○が、パパとキャッチボールして楽しかったってうれしそうに友達に話してたよ」のように、なるだけ具体的に表現しましょう。


夫婦はお互いに違う家庭環境で育ち、違う価値観を持っているものです。「違うから」であきらめず、お互いが納得するまで話合ってください。必要なことははっきり口に出してお願いし、彼の意見も聞き入れ、折衷案を出しましょう。あなたの夫は、週末の家族のだんらんが彼自身にもメリットがあることを知りません。そんな彼に言葉で説明しても分かってもらえません。だから、あなたが段取りをして、彼にその気にさせること、出かけたら楽しい時間を過ごせる努力をすることです。「今日は楽しかった」と彼が感じられれば、今度また行こうか、ということになるのです。始めはあなたが大変ですが、家族の良さを知っているあなたがこれに関してはリーダーシップをとることです。また、一人で頑張ろうとせず、シッターやクリーニングをできる範囲で雇ったり、夫とデートの時間をつくるなどして、あなたの楽しむ時間を作りましょう。あなたに笑顔が戻れば、家庭も明るくなり、結果ご主人のストレスも減り、彼も自分の協力や金銭的負担の効果を認識するでしょう。


同じストレスな状況でも、見方や考え方を変えると随分違います。駐在生活を経て、夫婦の絆が深まった人達はたくさんいます。海外生活の良いことに目を向けるとストレスも減るはずです。今までのように、なんでも一人でうまくやる必要はないのです。帰国はいつでも出来ます。限りある赴任生活を楽しもうという姿勢を持ってください。夫婦、家族で困難を乗り越えた達成感も海外生活のだいごみの一つです。

(スペースアルク 2011年8月掲載)


ドカ食いの癖をやめるには?
質問
留学でアメリカに来てから、やたらと間食をしてしまうようになってしまいました。特に試験前や学校で嫌なことがあったりしてストレスがたまると、スナック類に手が伸びてしまいます。体重も増えてしまい、ダイエットにも挑戦しましたが、その一方でポテトチップスをひと袋一気に食べてしまったりして、自己嫌悪に陥っています。どうしたらこの悪い癖をやめることができるでしょうか?

回答
ポテトチップスをひと袋一気に食べるくらい、あなたのストレスは大きいようです。留学生活はあなたが考えている以上にストレスがあります。英語での生活と勉強、学校の友達や先生との人間関係、親からのプレッシャー、食生活、経済的な制限、年齢や時間との戦い、学校の宿題、テスト、プレゼンテーション、住生活の変化(一人暮らし・寮生活・ルームメート・ホストファミリー)、カルチャーショック、ホームシックなど、どれをとっても大きなチャレンジです。また、留学生の多くは、上記のようなストレスにも関わらず「有意義に留学生活を過ごし、最短期間で留学を終える」という目標を持ち、自分にもプレッシャーをかけてしまいがちです。でも、実際は、思っていたように事は進まず、焦ったり自己嫌悪に陥ったりするのです。ストレスが多くなると、間食が増えたり、お酒やたばこが増えるなど、行動に現れる人もいれば、やる気がなくなったり集中できない、イライラする、落ち込むなどの精神状態になる人もいます。

留学は上記の様なストレスでいっぱいですから、学生生活でのストレスをいかにうまく処理できるかが、留学を成功させる鍵です。第一に、自分の置かれた状況が様々なストレスで溢れているのだなと自覚することです。ストレスが車で言うハンドブレーキだとすると、あなたの車はハンドブレーキを引いたまま、思いっきりアクセルを踏んで前に進もうとしています。どうして自分の車は思うように走らないのだ、と車を責めるのでなく、なぜ、うまく走っていないのかを考えてください。ハンドブレーキを引いたまま走っているから、当然、車には負担がかかり、ガソリンも普段より多く必要になります。ストレス下にある人が、炭水化物を欲しくなることはよく知られています。体が栄養を欲している訳ですから、スナック類で取るのではなく、良質の炭水化物や食事を体に与えてください。アメリカでは「You are what you eat」と言います。自分の口に入れるものが自分である、という意味です。スナックばかり食べることは、どういうことなのか考えてください。

第二に、ストレス発散の方法をいくつか見つけてましょう。息抜きや気分転換は誰にでも必要です。社会人は労働するからごほうびに給料をもらえます。学生だって勉強したらごほうびがあるべきです。何か楽しみになることを計画することで、スナックがごほうびではなくなると思います。


PTSD(心的トラウマ後ストレス障害)とは
質問
横断歩道を渡っている時に交通事故に巻き込まれて以来、道を歩くのが怖くなり、車のブレーキ音にも全身が凍り付いてしまいます。事故の経験のある友達は、その時のことはあまり覚えておらず普通に暮らしているのに、私は、事故の瞬間のシーンがスローモーションのように何度も頭に浮かんで何も手につきません。大して怪我もしなかったのに、どうしてこんな状態なのでしょうか?

回答
交通事故は、結果的に大事に至らずとも、その瞬間は命が危険にさらされることになります。命にかかわるような事件に巻き込まれたり、それを目撃したりすると、心は大きなショックを受け、その後の立ち直りに時間がかかる状態は、PTSD(心的トラウマ後ストレス障害)として知られています。

PTSDをわかりやすく説明するとこうなります。人間の心のキャパシティーには許容量があります。普段、通常の生活を営んでいるときの許容量を100とすると、仕事や勉強に50、人付き合いに20、その他の生活に30というように分担されて心のエネルギーが使われています。ところが、交通事故など非常にショックなことが起きると、許容量の70から80はその事件を消化するために使われしまうのです。今まで100でやっていた仕事・勉強・生活を残りの30から20で対処しなければならなくなるので、当然、普段の生活の部分では、気力がない、ぼう然とする、身が入らないという状態になります。許容量の大部分は、事故のことを考え、外に出ると異常なほど過敏になり、二度と事故に遭わないよう自分を守ることに費やされるのです。事故のことを覚えていないという場合は、あまりにもその事故が大きかったか、それを覚えておくことがあまりにも過酷であったため、防衛反応として記憶のシャットダウンが起きたと考えられます。しかし、脳のどこかには事故のことが記録されているので、覚えていないから大丈夫というわけではありません。

忘れよう、さっさと頭を切り替えようと、ショックを処理している80%を無視して、残りの20%で、これまで100でやっていたことをしようとすると、あなたの心のキャパシティーはじきにパンクしてしまいます。PTSDは人生に起きる大きなショックに対する自然の反応です。まず、あなたの許容量の大部分が、事故の処理に使用されていることを認識してください。そして、事故がどんなに怖かったか、どんなことを心配したか、繰り返して事故の話を何度も話してください。事故に関する思いを書き綴ることも大切です。また、できるだけ日々のストレスを減らしましょう。そうすることで、事故にあてがわれていた許容量が少しずつ減っていき、「そういえば最近事故のことを考えなくなった」という状態に落ち着きます。そうなれば、心が事故を処理する必要がなくなったわけですから、もう大丈夫です。焦らずに時間をかけてショックから立ち直ってください。


東日本大震災の海外生活者への影響
質問
国際結婚でアメリカに3年ほど在住しています。幸いにも東京に住む家族は無事でしたが、こちらにいる私が、震災から時間が経っても無力感や不安やうつを感じています。逆に日本の家族から「こっちは大丈夫。日本はみんな頑張ってるから」と元気づけられるほどです。私にとっては母国であれだけの災害があったことは大変ショックなのに、アメリカ人の夫も彼の家族も、もう何事もなかったかのように普通にしているのを見ると精神的な距離を感じて、もっと落ち込んでしまいます。


回答
今回の地震は海外に住む日本人にも大きな影響を与えました。あなたが経験しているのは、「二次受傷」と呼ばれる現象で、他人の苦しみを見たり聞いたりすることで受ける精神的影響です。症状としては、地震の映像が頭の中で繰り返される、悪夢、家族の安全を極度に心配する、何も感じない、無気力、将来に希望が持てない、ピリピリしている、怒りっぽい、睡眠障害、集中できない、人と接したくない、うつ、罪悪感、お酒やたばこの量が増える、体調不良(頭痛、胃腸障害、動悸や息切れなど)などです。

上記に加え、あなたのように、海外に住む日本人の中には、外国人配偶者との地震の受けとめ方の違いにショックを受けている人も多いのです。地震直後は、あまりにも悲惨な映像がテレビやインターネットで流されたため、それに誰もがショックを受け、大自然の前ではいかに人間が無力かを思い知らされました。しかし、外国人には、時間とともに「遠い国で起きた惨事」になっていくのに対し、日本人には、今回の地震は「もし、家族に何かがあっても、何もしてあげられない」「夫には近くに家族がいるが、私にはいない」という日本との決定的な距離や、配偶者との立場の違いを思い知らされる出来事なのです。だから、長くうつうつとした気持ちが続くのです。国際結婚のカップルで、「配偶者に『いつまで落ち込んでいるんだ』と責められる」という人も多くいます。

災害や事故などに遭っても、家族がいて、悲しみも喜びも同じ気持ちを共有できて、助け合いなぐさめ合って乗り越えると、心の傷は早く癒されますが、「自分と同じ気持ちでいてくれる人がいない」と、心の傷はなかなか癒されるものではありません。

まず、同じような立場の日本人と気持ちを語り合うことです。落ち込む時は、地震のニュースは避け、気分転換を図りましょう。バランスのとれた食事をとり、カフェインやお酒は控えること。適度な運動をし、腹式呼吸をして、心と体を落ち着かせてください。日本の家族にやってあげたいことは遠慮せずにやりましょう。一時帰国して、家族と水入らずの時間を過ごしたり、ボランティアをしたりするのもいいでしょう。

地震に関して温度差のある配偶者には、以上の説明をして、自分の状態が「海外生活者が感じる当たり前の反応」であることを理解してもらうことです。人によって「家族内の情の深さ」は違います。もし、あなたの夫の家族と、あなたの家族で「家族の情」に違いがある場合は、どのように違うのか、あなたが何ができればうれしいのか、彼に何をどう理解してもらいたいのか、などを詳しく話すことです。この場合、「あなたは冷たい、あなたの家族はドライだ」というような言葉は禁物です。彼や彼の家族を責めるのではなく、あなたの家族への想いや、家族内の愛情表現の仕方、「わが家のやり方」を例を使って説明すると説得力が出ます。今回の地震をきっかけに、深いコミュニケーションができる夫婦になってください。

(スペースアルク 2011年5月掲載)


夫のお金が使えない
質問
駐在妻としてアメリカ北部で暮らして1年半が経過しました。運良く信頼できるお友達 も沢山でき、すごく楽しく生活していたのですが、そのお友達がドンドン帰国していき、外出する機会も減っています。子どももおらず、主人は仕事に忙殺され る毎日です。英語の学校はストレスになってきたので通っていません。新たに好きなスポーツのクラスにでも入ろうかと考えていますが、英語ができないのでつ いていけずお金の無駄になるだろうなぁ……とも思っています。せっかくの海外生活、こんなひきこもり状態を何とかしたいのですがやる気も全然出ません。

40代前半、もう更年期なのでしょうか? それともうつ病なのでしょうか? 病院へ行くべきでしょうか? 主人は私が元気に明るくストレス無く生活できる のなら、何をやっても良いと言ってくれています。多少お金が掛かっても良いとも言ってくれているのですが、主人が一生懸命働いたお金を使うのも申し訳なく て。早朝から夜中まで、寝るひまを惜しんで働いているので、私だけが遊ぶなんてできません。それも長続きできるか不安なのに、お金をドブに捨てるような使 い方はできません。

少し前の私は、もっと積極的で何にでもチャレンジしていたのに、こんな弱い私がいたなんて驚きです。だからといって日本へ早く帰りたいとは思っておりませ ん。何かと不便なこともありますが、やっと慣れた生活です。主人と離れて生活するなんて考えられませんし。(結婚して3年半です)残りの駐在期間は(たぶ ん)2年くらいです。無理にお友達を作ろうとは思いませんが、何かを始めないとダメな人間になりそうで怖いです。まだ残っている海外生活、どのように過ご せば良いでしょうか。アドバイスのほど、よろしくお願いいたします。

回答
多 くの人が憧れる海外生活ですが、実際言葉の通じない世界で生活してみると、人の輪に入れない孤独と子どものようになってしまった自分に無力感を感じ、心が 段々と沈みがちになってしまうことは、大変よくあることです。ご主人もお仕事で大変お忙しいし、せっかく仲良くなったお友達も帰国が続き、少し慣れてきた 海外生活が孤独で寂しいものとなっているようです。毎日の生活がひきこもり状態となると、人間やる気も出てこなくなるものです。ご主人が働いているのに、 お金を無駄にしたり、自分だけ遊ぶなんてできないと考えるあなたは、大変まじめで、妻としての役目をしっかり果たそうと日々努力なさっている方なのでしょ う。

この海外での生活は、そんなあなただからこそ、余計に難しいものになっているのかもしれません。まずは、仕事で忙しい夫についていく海外生 活は、精神的に大変きついものであるということをご理解ください。一生懸命働くご主人に申し訳ないと思われて、ご自分の行動を規制されてしまっているよう ですが、あなたもご主人のために日本での生活を捨てて、家族、友達から離れて言葉の通じない場所での生活を頑張っているのです。肉体的には時間もあって楽 かもしれませんが、ビザの関係で働くこともできない、言葉も通じない、いつ帰国するかも自分で決めることもできない海外生活は、ストレスの多いものになり がちです。そんな中でできるだけ健全な精神状態を維持するよう努力するのが、異国で夫を支える妻の仕事の一つとも言えるのです。ですので、そのために多少 のお金や時間を費やすことに申し訳ないと思うことはないのです。

これからこちらで何をするかについてですが、日本に帰国された時のことを想像してみてください。日本で何をされたいですか? 仕事や趣味な ど日本で帰ったらやりたいことが必ずあると思います。例えば、日本で友達とゴルフに行きたいらば、今は一緒に回る人もいないかもしれませんが、ゴルフの レッスンは取れるはずです。そのためにまず英語の勉強を、となるかもしれません。目的が見えれば、英語の勉強もストレスが減ると思います。何にせよ、今ア メリカで見たり学んだりすることで、将来何か役に立つことがあるはずです。先につながること、目的ができると希望ややる気も出てくるものです。また、英語 クラスであれ、旅行であれ、スポーツクラスであれ、あなたは異国人であり何事も日本でやるようにスムーズにいかなくて当前であると覚悟してください。今ま で積極的で何にでもチャレンジしていたというあなたですが、生まれ育った国で新しいことにチャレンジすることと、異国で新しいことを始めることとはハード ルの高さが違います。「旅の恥はかき捨て」とも言います。自分の失敗を笑うぐらいの心構えで始めてみてはいかがでしょう。途中でやめるようなことになって も、お金をドブに捨てるなんてことはありません。異国での貴重な経験の一つとなったのです。意義あるものです。若い独身の時とは違って、新しいことへの挑 戦は簡単ではないと思いますが、逆に言えば、あなたには失敗しても家庭という大切なものがあるのです。生活に張りを持つためにも今はとりあえずやってみる ことが大切だと思います。

たとえ小さくてもあなた自身の目的を持ち、元気でこの海外生活を送ることが、結局はご主人の海外生活を支えることになります。配偶者の笑顔 は何より大切です。多少そのために出費があっても必要経費と考えて、あなたの限りある海外生活を悔いのないものにするよう頑張ってください。

(スペースアルク 2011年4月掲載)


40代夫婦の経済的危機
質問
ヨーロッパ在住10年、外国人の夫と4歳の子どもと暮らしています。子どもができるまでは、私は観光業の仕事をしていましたが、子どもができてからは専業主婦です。夫の稼ぎでは生活していくのが厳しい状況だったので、私の実家から援助を受けつつ現在までやってきました。しかし、4カ月前に夫がリストラされ無職になりました。40歳半ばの夫は特にこれという資格もなく、再就職がかなり厳しい状況です。私も40代でブランクがあるため観光業には簡単には戻れず、ほかの仕事もなかなか見つかりません。今住んでいるところが英語圏ではないため、英語を使う仕事もできません。日本へ家族での移住も考えますが、それも不安です。ここで夫に仕事が見つかったとしても、この先、また同じことが起きる可能性もあります。かといって、いつまでも実家からの援助を受けるわけにはいきません。何か良い選択技がありましたらアドバイスを頂ければと思います

回答
難しい状況のようですね。困難にどう二人で立ち向かいそれを乗り越えるかが、夫婦にとっての正念場です。少し厳しい言い方になりますが、あなたの結婚から感じられるのは、「二人でやっていく決心と勇気のなさ」です。あなたの実家という経済的後ろ盾があるために、二人ともにあまり危機感がない気がします。リストラされた夫には資格がない、あなたは再就職できない、英語圏ではない、お互いの年齢が……というように、「なぜ二人でやっていけないか」という要素だけを考えているようです。実家に頼ると、生活レベルはある程度維持できるでしょうが、夫婦間の信頼、協力体制や問題解決能力という点では弱くなっていってしまいます。現に、夫にもこれといって解決案はなさそうですし、あなたも夫がなんとかしてくれるとも思っていないようですし、あなたが日本で、自分が一家の大黒柱になろうとも思っていません。二人ともが「変化への恐怖と二人でやれる自信のなさ」にはまってしまい、そこから動けないでいるようです。

子どもは親を見て育ちます。親が恐怖と自信のなさのために、祖父母に養われていると知ったらどう思うでしょうか。子どもに惨めな思いはさせたくない、と思うのは分かりますが、惨めな思いをさせたくないばかりに、問題に真っ向から立ち向かわず、ビクビクしながら人に頼り続け、形だけの夫婦でいる、親でいることはいいことでしょうか。

あなた方二人はまだ40代です。まるで自分たちがもう無理のできない老人のように思うのはやめましょう。もし、あなたの実家の経済力がなければ、二人は死に物狂いでなんとかするでしょう。人は本当に困難にぶち当たると、なんとかするし、なんとかなるのです。そんなことはあなただって知っているはずです。海外生活10年という知恵も経験もあるのですから。あなたは夫と共にそれをする勇気と決心をすることです。しばらくはアルバイトでつなぐ、どちらかが手に職をつけられるよう学校に行く、日本であなたが働く、など、いくらでも解決法はあります。ひとつひとつを夫とじっくり考え、早々に実家からの援助は断ることです。生活が苦しくても、「自分たちだけで乗り越えたし、やっている」というのは自信を与えてくれ、何よりも夫婦間のきずなを深めてくれます。今からそれを得るために二人で努力するのは何も遅いことではないですし、今始めることが、将来の家族の幸せにつながるのです。人生はいつでもやり直しができるのです。

(スペースアルク 2010年9月掲載)


留学後10年の海外社会人生活、将来への不安
質問
シンガポールに住んで10年以上の日本人です。日本で大学を卒業後、東南アジアへの強い興味もありシンガポールに留学、その後現地で就職をして現在に至っ ています。過去に何度か転職をし、現在は米系の会社に勤めていますが、最近、将来が不安に感じています。今まで、会社の都合で辞めざる得ない状況もあり、 転職回数が多いため、昇進や昇給もほとんどないまま新卒とあまり変わらない立場で仕事をしています。職歴も中途半端でこれといった専門性もなく、ただ生活 のための日々を過ごしています。周囲の友人はそれぞれこちらで結婚したり、自分で会社を持っていたり、欧米の方と結婚してシンガポールを出ていったりと何 かしら人生に変化があるのに自分はこの10年以上、出世することもなく淡々と過ごしています。不況やな中途半端に長い海外生活、そして年齢の壁で就職先が ないと思うと日本への帰国も不安です。年々、シンガポールを出ていく友人も増えていき、友人も減ってきています。こちらにいても、成功している友人と収入 や立場で差がつくばかりなので、やはり日本に帰国し、一からやり直すべきなのか悩んでいます。

回答
あなたはシンガポールへの留学、現地での就職という高くて大きい山の頂に向けて、今までひたすら努力し、そして立派に登頂を果たしました。さて、あなたのように勉強、仕事にと頑張ってきた留学生の中には、いざ登頂を果たしたら、息切れしてがっくりくる人がいます。それもそのはず。彼らの話を聞いてみると、今まで息もつかずにひたすら全速力で突っ走ってきているのです。どんなにすばらしい登山家でも、休みなくひたすら登り続ければ、頂上で力尽きてしまうのは当然です。ですからあなたが今、日々の生活を空虚に感じたり、これからの人生が面白くなく感じているとしても、それは当然のことなのです。

まずあなたに必要なのは、これまでの努力と成果を認めることです。大きな事でなくても構いません。休日を利用して、今までやってみたかったけれど出来なかったことをしてみるとか、有給休暇を利用して小旅行に出かけるとか、自分にご褒美をあげるのはどうでしょう?一度、仕事も日常の生活も離れて、リフレッシュしてみるのです。

さて、リフレッシュできたら、今度は今から10年後、20年後にどういう風になっていたいか考え始めてみましょう。急に長期目標なんて立てられない、と思うかもしれませんね。でも、あなたの文面の中にすでにヒントが隠れているようです。周りの人たちの人生の変化を目の当たりにして、不安になっている様子が伝わってきますが、これを逆手にとって、いったい彼らの「何」がうらやましいのか、分析してみるのです。このとき「彼ら」と自分を比べるのではなく、彼らの「何」をうらやましく思うのか、「何」に注目して分析するのがコツです。

出世ですか?自分の会社を持っていること?専門性?収入?結婚ですか?それとも全部?全部だとしたら、優先順位をつけるとどうなりますか?これを頭の中で考えるだけでなく、実際に書き出して見ましょう。優先順位がついたら、今度はそれぞれについて具体的な作戦を書き出します。このとき例えば「専門職に就く」のが目標なら、どんな職場でどの専門職に就きたいのか、資格は何が必要か、資格取得までにかかる費用と時間、この間の生活費の確保の方法など、出来るだけ具体的に書き出すのがコツです。目標が設定できたら、次にどのくらいの期間でどこまで達成したいのか、目標期間を決めます。ここまでくれば不安に感じていたものが、かなり整理されてくるはずです。さてここで、あなたの目標を達成するには、シンガポールに残るほうが有利でしょうか?それとも日本に帰国したほうが有利ですか?帰国するしないは大きな決断です。だからこそ、友人が減ってきたなど、周りの状況に流されて決断してしまうと、後悔する原因になります。それに不況や年齢の壁は、どこにいても起こりえる問題です。ですから、あくまで自分の目標を軸に考えましょう。

あせらなくても大丈夫。大きい山に登頂できたあなたです。まずは山頂からの風景をじっくり楽しみ、それからゆっくり次の山を見つけていきましょう。

(スペースアルク 2010年2月掲載)


楽しかった駐在生活にかげりが・・・
質問
結婚後、半年後から主人の会社の転勤で海外で生活することになりました。海外旅行は好きで、最初は何をしよう?英語の学校も行こうなど目標がある生活をしたいと考えていました。ジムが好きなのもありますが、友達を作りたいと思い、スポーツジムにも毎日といって良いほど通い声をかけて友人も作ることが出来、今思うとそれなりに充実していたと思います。しかし、最近友人の御主人のプロジェクトが終わり帰国していく方が多くなり、気づけば、引きこもり状態な感じで外に行く気もしなくなり、人と、話そうという気もおきなくなりました。ただ、毎日主人を待っている日々で本当に、これでいいのだろうかと泣いている日もあり、主人に疲れたと言ったから日本に帰りたいと言ったら僕と一緒に住より日本で親や友達と会えるほうがいいんだね。。後、半年の辛抱なのに。。と言われてしまいました。実際、精神的に無理をして帰国された方もいるけど、私は我慢するしかないんだと思ってがんばってきました。しかし、疲れました。

回答
海外生活の当初は不安が大きく、外に出るのが億劫になったりする人がたくさんいる中、あなたは最初から積極的に外に出かけて友人を作り、充実した生活を送っていたんですね。そんな社交的なエネルギーの持ち主であるあなたはたいしたものです。でもどんなにパワーにあふれている人だって、新しい環境の中で短期間にあれもこれもと張り切れば、疲れてしまうのは当然です。今のあなたに必要なのは、まず心も体も休むこと。近所に散歩に出かけるとか、ちょっとした事でも構いませんから、気分転換をして見ましょう。

休憩ができたら、今度はご主人と今の自分の状況について話す機会を作ることです。文面からはお二人の気持ちがややすれ違っている様子が伝わってきますが、日本ではうまくいっていたカップルが、海外転勤とともに気持ちがすれ違ってしまうというのはよくあることです。というのも、日本という馴染んだ環境ではうまく機能していた夫婦のサポートシステムも、新しい環境ではうまく対応しきれなくなってしまうからです。それに結婚後まだ半年ということは、お互いのこともまだ分かりつつあるとき、そして夫婦のサポートシステムだって、まだこれから作りあげていこうという時期です。ですからまずはお互いの気持ちをじっくり話し合ってみましょう。何がストレスになっているのか、自分はどうしたいのか、相手に望んでいることは何か。このとき、「あなたは○○してくれない」といった否定的な話し方を避け、「私はこう感じている」「私はどうしたい」と言うように、自分の感じ方、希望を伝えるのが、会話をスムーズにするコツです。

あなたは結婚してご主人について海外に来たことで、新しい友人が出来、新しい世界を体験できました。これは素晴らしいことです。でもせっかく出来た友人はだんだん帰国してしまいます。しかもこれはあくまで相手の都合であり、あなたにはどうすることも出来ない部分です。気分が落ち込み始めたのは、もしかして「自分以外の人の都合に影響される人生」に虚しさを感じ始めたからではないでしょうか?ということは、 「妻」というアイデンティティーだけではなく、あなたはちゃんと「自分」を持っていたい人なのです。ならばこの機会にあなた自身の今後の人生の目標を今一度考えてみましょう。あと半年の海外生活で、何かしたいこと、やってみたいことから始めてみてはどうでしょうか。もともと社交的でエネルギーに満ち溢れているあなたです。きっと次にやってみたいことも見つかって、また生き生きした自分が戻ってくるでしょう。この機会に一度じっくり自分の人生の目標を見つめなおし、そしてご主人とお互いの気持ちを話し合って、いい結婚、いい人生を作りましょう。

(スペースアルク 2010年4月掲載)


短気な夫
質問
私は駐在妻です、渡米して1年になります。主婦をしていますが夫のことで相談したいのですが、夫は気が短く気に入らないことがあると子供の前で怒鳴ったり、物を蹴ったり、日本へ帰れ!それまで家庭内別居だ!といいます。唯一の朝ご飯も食べずに行ってしまいます、それを実行しています。この1年の間に1,2ヶ月に1回はそんな感じで「帰れ、死ね、生活費を渡さないぞ」などといわれてます。でも、生活費は何とか毎月もらっています。

私は今まで機嫌をとろうとしたり耐えてきましたが何だか疲れてきて、本当に帰ろうか…と考えたり、夜、目が覚めて眠れなかったり今は憂鬱な気持ちです。子供の前ではなるべく笑っていようと思っていますが。私はアメリカの生活は楽しんでいます、英語はできませんが覚えようとがんばっています。子供も幼稚園に慣れ楽しんでいる感じです。

私としては、英語もできるようになりたいし、まだアメリカを知りたい気持ちがあります、そして子供にもいい経験かなと…しかし家庭内がたびたびこのような感じでは…どうしたらいいと思われますか?アメリカで母子で住むことは無理なことでしょうか?どうぞ、よろしくお願いします。

回答
駐在員の辛さは、英語の壁、一人にかかる責任の多さ、現地の同僚との文化や言葉の違い、日本のように仕事の後で同僚と飲みに行ってうさを晴らせる場がないこと、などです。また、海外駐在を望んでいなかったという人や、駐在自体が出世や栄転でない場合、非常に苦痛な経験になることがあります。


あなたの夫は、明らかに外でのうさを家で晴らしているようなところがあり、唯一、日本語で、偉そうに言えるのがあなたなのでしょう。

妻として、ここでできるのは、今の彼の状態が、「一時的に駐在でストレスがたまっている」のか、「元々、短気で昔からこうだった」のか、見極めることです。彼にとってこの駐在はどういう意味があるのか、会社での立場、将来の夢や不安、お互いの実家のこと、子どものこと、二人の関係など、いろいろな面から彼のことを考えてみてください。もし、一時的なものなら、彼があなたや家庭に求めているのは、安らぎの場であり、「当たれる人がいる場」です。ここは、あなたが大きな愛情で彼を支えるしかありません。二人でゆっくり話し合ってみる、彼のストレスの原因を探り、話をじっくり聞く、アメリカを楽しむことを生活に入れる、などで、この一時的な状態を二人で乗り越えることができるでしょう。あなた自身はアメリカ生活を楽しみたい、英語を勉強したいというやる気があるので、いろいろなことにどんどん挑戦してください。あなただって、息抜きや楽しみの場が必要です。

彼が「元々短気」という場合はどうでしょうか。会社にも仕事にもこれと言って不満はなく、駐在を希望していた、英語にも問題はない、というような場合、彼のストレスの処理の仕方に問題があることになります。自分の短気さやすぐに怒鳴ることを、彼はどう思っているのでしょうか。

誰の人生にも嫌なことはあるし、ストレスはあります。頭にくることだってあります。しかし、それをいかにうまく処理するかが、「大人」なのではないでしょうか。すぐに物を蹴ったり、妻を怒鳴ったりする姿を、子どもはお母さんが可哀想とは思っても、「大人の男はああやってストレスを解消するんだな」と学習してしまいます。

今の状態は、二人の結婚や、これからの人生を見直すいい時期なのかも知れません。怖がらず、現実をよく見て、賢い選択をしてください。


留学、国際結婚、奨学金、がんばり過ぎの結果
質問
ちょうど2年前に日本での仕事を辞めてイギリスでの生活を始めた者(35歳、女性)です。最初の1年間で修士課程を修了し、渡英以前からお付き合いしてきたイギリス人の方と結婚をしました。運よく返済不要な奨学金(学費+生活費)を得ることができて、修士号を得た大学で、博士課程に進み、現在に至ります。

最初の一年は生活習慣の違いに慣れることにかなりのエネルギーを使いつつ、修士課程も何とか乗り切り、そこそこの成績で終わることができました。同時に結婚の準備(書類、ビザ、式)も結果的に私が調べたり、段取りをしたりすることが多くあり、かなり頑張ってしまったと思います。

それらのいろいろな生活上の疲れの反動なのかも知れませんが、この数ヶ月、大学へ行くことがものすごく嫌でたまりません。朝、お弁当を作って着替えるまではできるのですが、出かけようとすると、子供のように泣き出してしまいます。自分でもおかしいなと思うのですが、どうしても足が止まってしまいます。

このままの状態では博士号取得は難しく、イギリスでの就職、日本での再就職もできないのではないかと不安になるのですが、今まではものすごく情熱を傾けてきた専門分野(環境問題関連)に対して、嫌気がさしていて、勉強にも集中できません。

大学のカウンセリングに行くべきかどうかを迷っているところですが、主人はカウンセリングでは解決しないのではないかと疑問に思っている様子です。10月からの秋学期だけお休みを貰おうとも考えましたが、奨学金を頂いていることから、支給が止められるのではないかと思うと、それも言い出せません。

研究にもう一度向き合い、前向きに生活できるようになるためにはどうすれば良いのか、自分でも分からなくなってしまい、途方に暮れています。

回答
ちょっと深呼吸をして、今一度、あなたのこの数年を振り返ってみてください。留学する決心、渡英準備、日本の仕事を辞めたこと、家族や友達との別れ、外国生活、結婚、ビザ手続き、奨学金での大学院の勉強・・・これだけ見ても、普通ならため息が出るくらい大変なことばかりです。あなたのおっしゃるように、この二年間、ちょっとがんばり過ぎたのだと思います。一日も早く、社会人に戻りたくて、外国であるにも関わらず、また、国際結婚をしたばかりであるにも関わらず、突っ走ってきたのでしょう。 まず、奨学金がしばらく休むことでどうなるかを調べてください。事情があれば打ち切られることがなければ安心して休めばいいし、打ち切られるというのなら、それがどれだけ大切なことなのか考えましょう。あなたが夫の国で社会人になるために必要な学費なら、夫はその援助をするべきです。休むことにしても、人生は長いし、現代の人はほとんどの人が75歳まで働かなければなりません。今の一年二年がどれだけの意味があるのかは、長い目で見て焦らないことです。あなたに必要なのは「休むこと」、そして、彼との生活をエンジョイすることです。せっかく結婚したのに、あなたの生活は勉強、勉強、勉強であるような気がします。フルスピードで車を走らせ続けると、エンジンは必ず壊れます。長距離を一気に走ったら、エンジンを休ませ、オイル交換をして、チューンアップをしてあげると、その車は長く走ることができるのです。あなたの車は大変優秀な車です。ちゃんと手入れをして大切に使ってあげれば、この先、大きなことができるはずです。

文面から気になるのは、あなたが夫からのサポートがないように感じていることです。あなたがスーパーウーマンで何でもチャキチャキできるから、一人でやってしまうということはありませんか? あなたが「自分はこうしたらいいと思うこと」でも、夫が反対したら自分の意見を殺してはいませんか? 結婚を成功させるのには、夫婦がいいチームになることが大切です。どちらかがスーパー人間になってしまっては、当然相手は持っている能力も出さなくなってしまいます。夫のいいところをあなたが享受できることも、賢い妻のすることです。なんのためにイギリスに行ったのかは、幸せになるためだったはずです。一日も早く博士号を取り就職することではありません。そこのところをもう一度よく考えて、幸せになるために必要なことを選んでください。休養する、ヨーロッパのどこかに新婚旅行に行く、彼と楽しい時間を持つ、イギリス人の彼にサポートしてもらう・・・そういうことが今は必要です。

(スペースアルク 2009年9月掲載)


三ヶ国語目の夫の母国にどうしても適応できない
質問
現在仏語圏に住んで、3年になる者です。英語圏に約10年住み、仕事、私生活共に充実した日々を過ごしていましたが、2人目の出産を機に主人の実家近くへ越しました(私の家族は皆日本にいます)。1年半通った仏語のコースを終了したにもかかわらず、簡単な会話ができる程度のレベル止まりです。仕事ができるようなレベルにはほど遠く、働くのが好きな私は少しうつ気味です。

主人は「仏語のレベルは自分が思っている以上だから、心配せずに就職活動をすればいい」と言いますが、まったく自信がありません。そんな状況が半年近く続き、外出するのも面倒、対人恐怖症、モチベーションも下がり、自分の人生はもう終わってしまったような気さえします。「自殺したら楽になる」とフッと思ったこともありました。

現在、主人と英語圏への引越しを話し合い、少し楽になった気がしますが、たく
さん友人ができた子どもたちや、孫に頻繁に会える義理父・母のことを考えると心が痛みます。また、この2年間で失われた私の自信も新たな地で取り戻せるのか、心配事は耐えません。どのように対処すれば良いでしょうか、ご意見を伺いたいです。

回答
あなたの苦しみは、あなた以外の人たちの希望は、そのまま仏語圏に住むことで、あなたの希望はそうではないところにあります。多数決で考えれば、あなたが我慢するしかないかも知れませんが、あなたの人生は他人のためにあるものではないし、夫、子供、夫の両親が幸せならば、あなたも幸せになれるというものでもありません。あなたの幸せは、あなただけが作り出せるものだからです。

二人目の出産後に引っ越したのは、子供たちを夫の国の環境で育てようと決心したからだと思いますが、今のままでは、母親が幸せではなく、それは子供にもいいことではありません。仏語環境に適応できない自分を責めるより、自分が生き生きとできる環境を探しましょう。そして、それをすることに罪悪感を持たないことです。あなたの夫は日本人と結婚したのであり、そこには「国際結婚をしたこと」への責任が生じます。自分の環境に相手も適応してくれることを望むのはわかりますが、相手が外国人の場合、それは非常に難しいものです。現に、二人ともにとって「外国」である英語圏で暮らしていたときは家庭はうまくいっていたわけで、仏語圏に移ってきてから、いろいろな問題が浮上しているのです。

日本から英語圏に行き、そこで適応し、次に仏語圏に移り、そこでまた新しい言葉を学び適応し、子育てしなければならないことに加え、義理の家族が近くにいて、自分の家族は日本という事実も、あなたのストレスの原因かも知れません。文化や言語の違う場所への引越しは、大変大きなストレスを伴います。あなたには、これは二度目なのに対し、彼は故郷に帰ったわけで、ストレスの度合いは全く違うのです。いくら適応能力があるとしても、人間はそんなに簡単には数年毎に新しい環境に適応はできないものです。

国際結婚をしたカップルはどちらかにとってだけいい環境に住むのではなく、二人ともにとっていい環境を探し、そこで住むという勇気と決心、そして努力が必要です。

(スペースアルク2008年11月掲載)


ヨーロッパから日本への再適応の辛さ
質問
29歳の女性です。昨年までヨーロッパに在住していましたが、結婚を機に日本へ戻ってきました。主人は日本人で、2人ともそれぞれ現地の会社で働いていて、現地で知り合い結婚しました。年々ビザの取得や更新が厳しくなっており、今後子どもを持ち、育てていくことも考えて、現地での仕事を辞め、日本で再出発しました。この不況の中、夫婦ともそれなりに就職することができ、安定した生活を手に入れ、これといって不満はありません。ただ、主人とは出身地も違うため、今現在住んでいるところでは2人の共通の友人というのがほとんどおらず、向こうで生活していた頃のように大勢でワイワイ過ごすこともなくなり、現地で仲のよかった友人たちや、元同僚たちの近況を聞くたびに、とても寂しい気持ちになってしまいます。主人は長い間日本を離れていましたが、わたしは毎年数ヶ月は日本に帰ってきていて、日本での生活が久しぶりというわけでもありません。主人に対しても不満はなく、もちろん2人でいても楽しいです。自分たちの選択も間違っていたとは思っていません。ただ、ときどき無償に寂しくなったり、向こうでの生活が懐かしくてたまらなくなり、突然泣き出してしまうこともあります。どうすればこの気持ちを整理して、前向きに生活していくことができるでしょうか。

回答
あなたが感じているような寂しさや、向こうの生活の懐かしさは、海外で生活していた人が、日本に帰って感じる逆カルチャーショックや再適応のチャレンジです。毎年日本に帰ってきていたとはいえ、あなたの今回の日本帰国は、その意味が違います。ヨーロッパからの日本への一時帰国は「里帰りや気分転換」であったのに対し、家庭を作り子育てをするという意味での帰国は、大げさに言うと「日本に骨を埋める」とも言えるくらい大きなことです。ヨーロッパへ出発した時は、夢や冒険心に溢れていたでしょう。そこから日本への一時帰国は楽しみにできる休暇だったでしょう。それらの「移動」は、あなたに躍動感や高揚感を与えてくれたと思います。それらに比べると、「骨を埋める場所への移動」には、躍動感というよりも、責任感や覚悟のようなものがついてくるものです。

今のあなたに大切なのは、自分の決断の理由をもう一度思い出すことです。なぜ二人で日本に帰ろうと思ったのか、なぜ日本で子供を育てようと思ったのか、なぜ今住んでいるところに住むことを決めたのか、などを考えてみてください。ヨーロッパの思い出はキラキラと輝いているのに、日本の生活はおもしろくなくつまらないものに見えているのは、日本で家庭を持ち親になっていくことが、あなたにとってまだ未知の世界だからです。まだそこまで到達できていないからです。でも、あなたが選んだ新しい人生には、ヨーロッパでの生活とは全く別の喜びや嬉しさが待っているのです。ただ、あなたがそれを知らないだけ、そこまで到達するのに少し躊躇しているだけです。

自分が「これからはこうしよう」と決めたなら、その道がどんなに困難でも、着実に進み、あきらめないこと、将来に夢を持つことです。今の辛い時期は、時間が経てば必ずよくなっていきます。あなたはヨーロッパに適応したという能力と実績をちゃんと持っている人です。だから、「日本での生活」にも、きっと適応できるはずです。自信を持って、ヨーロッパの友人の話なんかにヨソ見をせず、自分の行き先だけを見てしっかりと歩いて行ってください。

(スペースアルク2009年8月掲載)


海外で暮らすか、日本に戻るか
質問
外国人の彼と英語圏の国で暮らしていますが、経済的余裕がなかなかできずに悩んでいます。彼には資格や学歴などがないため、低賃金の仕事にしか就くことができません。また私の英語力は100%とは言えないため、職がかなり限定されてしまいます。現在パートタイムで働いていますが、フルタイムの仕事はなかなか見つからず、物価が非常に高騰している中、今後の生活が苦しくなっていくことに不安が募ります。日本に帰国すれば私もフルタイムで働ける環境になり、彼も英会話教師の職にでも就けるのではと思案中です。ほかにも何か良い選択肢がありましたら、教えてください。

回答
現在住んでいる国の物価上昇が原因で、日本への帰国を考えておられるようです。ここで、あなたに考えてもらいたいことは、まず、二人の将来の展望です。お互いに人生に何を求めているのか、どこで、どんな生活がしたいのかなどをよく話し合うことです。

国際恋愛や国際結婚では、どの国に住むかは大変重要な決断になります。文化や言語の壁が二人ともに立ちはだかる場合もありますが、ほとんどの場合はどちらかだけが、その壁に立ち向かわなければならないからです。互いに納得して国を決めることが第一。そして、一度「ここに住む」と決めたら、そこで何があろうと生きていく覚悟をすることです。その覚悟がなければ、いつまでも「あの国なら」という未練で努力できなくなることもあるのです。

次に考えてほしい点は、「人生のパートナーとしての彼」です。人は成長していくものです。あなたの成長と彼の成長の方向が違ったり、ペースが違ったりすると、ずれたボタンのように、いつか、かみ合わなくなってしまいます。彼はあなたの経済的不安をどう思っているのでしょう? 「僕も何とかしなければと思う。だからこうする」というように、彼には彼なりのプランがあるなら、あなたも心強く二人でがんばる気が起きるでしょう。しかし、あなただけが危機感を抱き、対策を考えているとしたらどうでしょうか。彼が日本に行って英語教師になるという案は、彼は乗り気なのでしょうか。実際の彼をここでしっかりと見つめることが大切です。

そして「自分の幸せの形を知る」ことです。百人いたら、百通りの幸せの形があります。だから、「一般的ないい暮らし」や「これが女の幸せ」といった他人の価値観で自分の幸せを考えるのではなく、「私にとってはこれが幸せなのだ」という形をわかることが大切です。「ぜいたくをしなくても、優しい彼と一緒ならいい」があなたの幸せならそれはそれでいいのです。恋愛当時、あなたが彼に求めていたものが、学歴などの肩書ではなく精神的なものであったのは確かでしょう。それと経済的なものを比べたとき、あなたにとって、どちらが大切かをもう一度考えてみてください。

(スペースアルク2008年6月掲載)


友達への相談、サイキックへの相談、カウンセラーへの相談の違いは何ですか
質問
卒業間近の留学生です。帰国すべきかアメリカでやってみるべきか迷っています。学校のアドバイザーやホストファミリーに相談したり、友達とは何時間も話したりするのですが、いまひとつピンときません。サイキックに行くのも考えましたが、自分の将来のことなので、何を言われてもそう簡単に納得できるとは思えません。カウンセリングならどうだろうと興味はありますが、別に精神的に病気ということもなく、こんな程度で行っていいものかもわかりません。いったい、カウンセリングでは何をしてくれて、どんな人が行くものなのですか。

回答
「カウンセリングは病気の人が行くもの」というのは一般的に考えられているようですが、カウンセラーの立場から言わせてもらうと、「カウンセリングは普通の人が行くもの」です。「今日は何を着て行こう」という決定でさえ、天候、温度、行く場所、会う人、そこでの活動など、様々な要素に基づいて行われるのに、帰国するか残るかというような大きな決定になると、考えなければいけない要素は無限に出てきます。自分の希望、親の希望、年齢、経験、実力、自信、報酬、ビザ、未来の展望、きょうだいの状態、家庭の事情、不安やためらい、などはごく一部です。「絶対自分はこうする」と決まっている場合は別として、迷いがある場合、これらの要素をひとりで考え、納得できる結論を出すのが非常に困難なのは当然です。

友達や知り合いへの相談では、上記のような複雑な要素について「全部は話せない」という限界があります。誰かの意見を優先して決定した場合は、「本当にそれでよかったのか」という迷いも残るでしょう。サイキックへの相談では、「予言としてのアドバイス」はもらえても、果たしてその予言に基づいて決定すべきかどうか、というところになると迷ってしまうものです。

赤の他人で、しかも客観的に話が聞けるプロのカウンセラーになら、心おきなくすべて話すことができます。現に、カウンセリングの倫理規定には「親戚や友達はカウンセリングできない」というのがあります。それは、人の悩みには人間関係がからむものであり、なんらかの関係がすでにできている間柄では、話せることは限られるからです。

さて、カウンセリングで今の状況や関連要素を話してから、何が起きるのでしょうか。ジグソーパズルを想像してください。先にあげた様々な要素がバラバラに存在していて、全体としての図が見えていない状態です。カウンセラーはそれぞれの要素についていろいろな角度から質問をして、クライアントが「本当のところどう思っているのか」「何が障害か」を探り出していきます。ひとつのパズルがどこに属するのか、ここか、あそこかというふうに探っていくようなものです。クライアントはその過程で、パズルが少しずつ埋まっていくように、自分の置かれた立場と全体の図が見えてくるのです。

カウンセリングは、自分というパズルを埋めていく作業であり、その効果としては、当面の悩みが解決すること以外に、「自分を知ることができる」、こうやって考えればわかりやすい、という「考え方や見方の幅が増える」ということでしょう。

最後に気になる費用ですが、カウンセラーの資格や経験によって一回数十ドル程度から数百ドルと幅があります。医療保険の中にはカウンセリングをカバーするものもあります。アメリカ人は気軽にカウンセリングを利用します。マッサージやエステを手軽に利用するように、「心のマッサージ」としてカウンセリングを考えてみてください。
(Front Line 2010年9月掲載)


人の世話ばかりしてしまう自分
質問
語学学校に通う留学生ですが、学校の宿題や試験勉強に集中したい時に、友達から頼まれ事をされるとどうしても断れません。私もお世話になったこともある人たちなので、助けてあげたくてやってしまうんです。実際に友達に会うと楽しくて、やってあげてよかったと思うのですが、最近は、メールを見るのも、電話が鳴るのも怖くなってきました。だんだんメールは来ても開けないようになったし、電話がこない日はとても平和に感じられるのです。友達は大切だし、私だって助けてもらうことはあるのに、避けているようで、すごく嫌です。どうすれば、上手に人と付き合え、自分のすべきこともできるようになるのですか?

回答
まず、自分にもっと素直になることです。今日、やらなければならない宿題や勉強があるなら、「今日はどうしてもこれを終わらせないといけないので、今週末なら手伝えるよ」とか「この前助けてもらったから、手伝ってあげたいんだけど、今夜は宿題で無理なんだよね。いつならいい?」など、ちゃんと自分の事情を話し、他のオプションを探すのです。相手にだって都合はあるし、「今でなきゃダメ」と言われるかも知れません。でも、自分の都合にいつも他人が合わせてくれると考えるのは、おかしくはありませんか? いい友達なら、素直にお互いの都合が言い合え、二人の都合が合ったときに助け合えばいいのです。

あなたの言う、「お世話になったから」というのも、一旦お世話になったら、あなたの時間は友達のものと考えているわけで、それも、ちょっと不自然です。あなたはどんな風に、その友達にお世話になったのでしょうか?ちょっと思い出して考えてみてください。

あなたが、メールや電話を避けるようになったのには、「もう友達から頼まれごとをされたくない」という思いがあるようです。ということは、「いくらお世話になったからといって、ここまで頼まれるのはおかしいかも」とか「どうして、あの人は私の都合を考えてくれないのか」と感じているのではないでしょうか。だとすると、この関係はアンバランスであるということです。そのアンバランスをきちんと理解することが大切です。こう書くと、まるで恩の貸し借りや人のポイントをつけているような感じがするかも知れませんが、人間の脳は賢く、「私があの人にしてあげたのはこれ」「あの人が私にしてくれたのはこれ」と、ちゃんと記録しているものです。その記録が、イライラや怒りの感情として、あなたに「ねえ、ちょっと、これって不公平じゃないの?」と知らせているわけです。

この友達とのこれまでの関係を思い出してみること、自分のすべきことを素直に説明すること、「いついつならできるよ」と自分の助けてあげられる都合を言うこと、まず、この三つをやってみましょう。これでかなり改善されるはずです。もし、相手が怒り出したり、あなたを責めたりしたら、「この友人関係って私にとってどんな意味があるのか」を考えることです。友達は大切ですが、もっと大切なのは、いい友達を選ぶことです。いい友達とは、あなたを尊重し、いい距離を持って理解しあい、助け合える人です。


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