質問
20代の専業主婦です。近所のごく限られた道なら運転できるのですが、慣れない道やフリーウェーなどがこわくて運転できません。また、車が一台しかなく、夫が会社に乗って行ってしまうと昼間は家から出られない状態です。夫は、「女が一人で出歩くのは危ない」「夫婦なんだから、いつも一緒に行動しよう」と言い、夫の運転で夜や週末に出かけることはありますが、夫は私の提案に同意しないと運転してくれないため、すべて私の行きたい所に行けるというわけではありません。とりあえず運転がもっとできるようになれば行動範囲も広がると思うのですが、運転の際の恐怖心を克服してフリーウェーの運転ができるようになるためにはどうしたらよいでしょうか。
回答
電車やバスなどの公共交通機関が便利な日本からアメリカに来ると、まず困るのが移動方法です。時速65マイル(104キロ)以上で走るフリーウェーは、日本であまり運転していなかった人には恐怖です。その上、もし事故に遭ったら、英語でどう対応するのか、その後の処置は……と考えると余計怖じけてしまいますよね。
でも、アメリカでの生活が長期になるのなら、あなたの感じているように、車がないと行動範囲は限られてしまいます。ご主人とあなたの意見が合った場所にしか連れて行ってもらえない、車がない日は昼間家から出られない、となると、ここでの生活は面白くなく、自由でなく、孤立して、とてもフラストレーションがたまってきます。
運転の恐怖を克服するために、以下のことをしてみてください。
- バスでいろいろな所に行って道を覚える
- 帰ってから今日通った道を地図で確認する
- 夫や友達の車の助手席に乗り、ナビゲーターをする(ただし、夫婦間で運転を教わると、けんかになりがちなので注意してください)
- 事故を起こした時の処理を知っておく(携帯電話を持つ、保険会社やAAAなどの電話番号を控えておく、保険の書類を持つ、その場で役立つ英語の文をあらかじめ書いておくなど)
- フリーウェーで入口と出口の間隔が短かく、車線変更のない場所を、ラッシュアワーを避けて走ってみる。
もう一つ気になるのは、ご主人との意見の相違です。「家にいて安全だが、うつうつとしている妻」と、「冒険して生き生きと外に出掛けている妻」では、どちらが彼にとっていいでしょうか? いくらご主人が「夫婦なんだからいつも一緒に」と言っても、主婦の生活は夫との人間関係だけで成り立っているのではありません。日本の専業主婦は、自分の家庭、実家、夫の家族、元職場、小中高、短大、大学、サークル、子どもを通しての集まり、などなど、様々な場所に属しています。いろいろな場所・環境に属しているというのが、人間の社会的に健康的な状態です。ところが、海外に住むと、日本にあった種々の関係をすべてなくすわけで、その淋しさ、喪失感、孤独感はとても大きいのです。その状態から抜け出すためには、ここで一から新しい世界を作っていかなければなりません。つまり、あなたが自分で動かなければならないのです。彼があなたのことを心配しているのなら、上記のような計画に協力してもらいましょう。
フリーウェーを走れるようになり、慣れてくれば、運転が開放感と力を与えてくれます。行動範囲も広がり、ご主人との二人の生活にプラスして、あなたの生活も始まるはずです。冒険することで新しい世界が広がりますよ。
(スペースアルク2008年1月掲載)