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読むアドバイス

子育ての悩みに関する読むアドバイス

トピックス
異文化における子どものストレス
質問
10歳の小学生の母親です。最近、アメリカに引っ越し、子どもを現地校と日本語補習校に入れたのですが、現地校から帰ってくると元気がなく、時々学校に行きたくないと言って泣きます。「学校で何かあったの?」と聞いても何も教えてくれません。どうすればいいのでしょうか?

回答
自分の意志で留学してきた大人にとっても海外生活は大変なのに、親の転勤でいきなりアメリカの学校に入れられるのは、どんなに精神的に強い子どもにも大変なストレスを与えます。若いほど適応が早いと言われますが、子どもが外国の学校や文化に慣れるまでは、相当のストレスや悩みを抱えるのは当たり前です。また、子どもは親をよく見ていて、父親は仕事で忙しいこと、母親が外国に来て苦労していること、今さら泣いても日本に帰れないことはちゃんと分かっています。その上、アメリカの子ども達からは差別される、外国人の扱いに慣れていない先生がいる、勉強にも友達との遊びにもついていけない、日本語補習校に行くとはるかにアメリカ慣れした英語の得意な子どもがいる、という過酷な現実の中で彼らは生き残って行かなければならないのです。

あなたのお子さんが、今の時点で毎日現地校に通っていることはとても立派なことです。そして、海外転勤で親自身も不安とストレスが多い中、子どもがどんなに辛くても親に迷惑をかけないで、自分で解決しようとしているのは健気で、親にとっては大変ありがたいことではないでしょうか。

親としては、外国に来たら誰でも元気がなくなったり、ひとりぼっちだと感じること、どんな子どもでも学校で辛いことがあること、成績が下がったりやる気がなくなるのは当然であること、ゆっくり慣れていけばいいこと、などを話してあげることと、親に心配をかけまいと自分でがんばろうとしている努力をほめてあげることが大切です。親が理解ある態度を示すと、子どもは少しずつ話してくれるかもしれません。子どもが話し始めたら、親は子どもを言いくるめるのではなく、ただじっと聞くことが肝心です。また、「絵が上手って言われたね」「ゲームで強かったね」「サッカーですごいシュートをきめたね」「近所に友達がいっぱいいるね」などと、子どもの得意なことを話題にしてあげると、「あ、そうか自分にもできることがあったんだ」と、子どもが自信を取り戻すきっかけになります。

こんな時、「泣くのはやめなさい。他の子はちゃんとやっているのに、どうしてあなたはできないの? しっかりしなさい」などと問い詰めると、子どもは「やっぱり自分はだめだ」というふうに受け取ってしまいがちです。「こんなに大変な状況でも、毎日学校に行くのは偉い」と、親が子どもの辛さを理解し、努力を認めてあげることが大切です。親が自分を認めてくれているという自信があれば、子どもはちゃんと自分で問題を解決できる人間に育っていくと思います。

(スペースアルク 2007年10月掲載)


子どものマルチリンガル教育について
質問
中国人の夫を持つ日本人女性です。今はロスに住んでいますが、将来は夫の仕事でどこに住むようになるか分かりません。夫の前任者は今は北欧で働いています。子どもはまだ2歳で、私が日本語で話しているので日本語はかなりできます。夫は子どもの将来を考えると、まず英語、その次は中国語を勉強させたい、と言うのですが、私はやはり日本語も勉強してほしいと思っています。でも、そうなると小さな子どもに3カ国語も押し付けることになって、それはかわいそうだと思います。私自身は中国語はできないので、夫とは日本語と英語を交ぜて会話しています。夫は日本に短期留学していたので日本語が結構話せます。日本語ができて就職に有利な時代ではもうないし、中国語ができたほうがいいとは思います。英語が必要だということには2人とも同意しています。英語だけでも習得するのは大変なのに、また違う国に行くことになれば4カ国語目かと考えると頭が痛いです。友達には、「マルチリンガル教育よりも大切なことがあるんじゃないの?」と言われて、それもそうだと思うし、どう考えればいいでしょうか。

回答
国際結婚や海外生活をする親にとって、子どもの言語教育は、大きな課題です。言語の学習は、その文化や慣習、その言葉を話す人々を理解していくことです。親の言語や文化に親しむことは、子どもの自尊心、アイデンティティーの形成にも大きく役立ちます。そして、文化風習の違いを理解し柔軟に対応する能力は、グローバル化が進む現代社会を生きる子どもの大きなプラスとなることでしょう。ですが、そのために費やす時間、労力、お金、能力には親子ともに限りがあるもの。他言語の学習に時間を取られると、ほかの子どもたちとの交流やスポーツの時間が減ったり、現地の国語力で遅れをとることもあるでしょう。言語の習得は乳幼児期から始まるので、子どもの意思を待たずに進めることになり、親の責任は重大です。子どもや家庭への負担を考えると多くの親が悩むところです。

夫は中国語を勉強させたい、あなたも将来の就職には有利と考えているのに、日本語を子どもに勉強してほしいのはなぜでしょう? 日本の家族とつながっていてほしいから? 日本の文化や風習を理解してほしいから? それとも、自分の不慣れな言葉しか子どもが話さなくなることが不安だから? 夫は日本語を話せるのだから、自分の分からない中国語よりも日本語を、と思ってしまうのでしょうか? 日本語を勉強させたい素直な気持ちを夫と話し合ってみてください。言葉に出すこと、夫に説明することで、あなたと子どもに本当に必要なことかどうか、もっと明確になることでしょう。

「マルチリンガル教育より大切なことがある」とも思うということですが、その「大切なこと」とは何なのでしょうか? それは、マルチリンガル教育とは相容れないものでしょうか? どういう大人になってほしいのかある程度のビジョンを持ち、何が大切なのかを明確にすることが重要です。また、一口にマルチリンガルと言ってもさまざまです。簡単な日常会話程度で読み書きできない言語を2、3話せる程度でマルチリンガルと考える人もいれば、すべて母国語並みに読み書き会話ができて初めてそうだと考える人もいます。どこを目指すかによって子どもや親への負担も大幅に変わってきます。ぜひ夫婦で、マルチリンガル教育に関する本を数冊は読み、その専門家や、実際に実践している親や子どもたちに話を聞いてみてください。そうすることで、現実的な利点、欠点、楽しさ、難しさが見えてくると思います。マルチリンガル教育には正解はないし、各家庭で方法もゴールも違うものなのです。何を目指し、何を目指さないのか夫とよく話し合ってください。夫婦で同じ目的、ゴールを持つことは、子どもに安定した環境を与えるために必須と心得ましょう。

たとえ英語だけで教育すると決めたとしても、中国人と日本人の親を持つあなたの子どもは、中国、日本、転勤すれば3つ目の文化や言語に触れて育つことになります。そういった環境を楽しめる、意味ある経験と思える人間に育つことは重要です。あなたは、今の環境をどう感じていますか? 小さい子どもに3カ国語も押し付けることになる、かわいそうだと思うということは、あなた自身が、多言語に囲まれる今の生活にあまりポジティブになれていないのではと感じました。親の気持ちは、子どもに伝わるものです。大変なことも多いでしょうが、今の環境の良い部分楽しい部分にも目を向けてください。子どもが小さいころのマルチリンガル教育は、それぞれの言語を話す大人が話しかけをしたり、読み聞かせをしたりと、多くの文化的行事の機会を与えることでもあります。見方によっては、あなたの子どもは特別な機会に恵まれているのです。あなたが子どもにそういった機会を"押し付ける"のではなく、"与えてあげる"と考えることができれば、子どももそのように感じて育つことができるでしょう。

ほかの子育て同様、マルチリンガル教育も、親の思い通りにはいかないものです。本人の成長に従い、性格や特性に合わせてゴールや方法を修正していかなくてはいけません。その時々にできる精一杯の環境を子どもに提供すれば、後悔はないはずです。どんな言語教育を目指すにしろ、その環境のポジティブな部分に目を向け、家族で楽しんでください。

(スペースアルク 2012年1月掲載)


夫が子育てに興味がないようです
質問
現在2歳の長女と1歳の長男がいます。夫は子供が生まれる前はとてもケアリングでしたが、子供が生まれてからは子育てに関心がなく、基本的なこと(オムツを換える、よだれを拭くなど)以外のことは私がしています。夫はフルタイムの仕事があるとは言え、他のご家庭の様子を聞くと、もっと「夫婦で一緒に子育てをしている」といった感じで、我が家との違いが見えてしまいます。夫に聞くとしても、「興味がないんだ」と言われるのも怖く、聞けていません。夫婦でカウンセリングに行ったほうがよいのでしょうか?

回答
子供さんが小さいので毎日戦争のような日々を送られていると思います。あなたの立場になると手伝わない夫が「冷たい」「無責任」と感じると思いますが、夫側からよく聞くのは「子供ができてから自分に興味がなくなった妻」に対する失望です。もし、夫が忙しくて帰宅は遅く週末も不在が多いなら「分業体制」でうまくいくかも知れませんが、あなたのお話だと子供が生まれる前はケアリングだったということは、彼は家庭用の時間もエネルギーもちゃんと持てる人だと言えます。愛情はキャッチボールで、あげるから返してもらえるのであって、子供の世話であなたの愛情もエネルギーもすべてそちらに行っていると、夫にするとおもしろくないし、「家での自分の存在価値」まで疑ってしまう人もいるくらいです。「子育てがこんなに大変なのを見れば、夫に昔のようにできないのは当然」という理屈は女性には通りますが、ほとんどの男性には通らないのです。アメリカの2001年国勢調査によると、離婚の第一のピークは結婚後7-8年でもっとも多い59%、その後下降し、次のピークは結婚後17年、最後のピークが結婚後23年です。初めのピークは子供が小さい頃、第二は子供が高校卒業頃、第三は大学卒業頃で、離婚と子供は密接な関連があると言えます。子供ができてから増えるストレスに、対応できるかどうかに結婚の行方かかかっているのです。どちらが正しい、間違っているのではなく、理屈でもありません。お互いの立場の理解ができる夫婦、その努力ができる夫婦がストレスを乗り越えていけるのです。

あなたにできるのは、時間の使い方を考え直し、なんとかして「夫との時間」を捻出することです。そして夫と話し始めることです。彼に「興味がない」と言われるのが怖くて聞けないとありますが、肝心なことを話さないでいるとこれからどんどん二人の距離は広がる一方です。「昔優しかったからいつかわかってくれる」「子供が大きくなったら元に戻るだろう」とかごまかしてはいけません。「最近のことで話したいんだけど」と切り出して、「あなたの思っていること、何でもいいから教えて」と聞いてみましょう。彼は話し始めると、おそらくあなたの恐れているように文句や愚痴が出てきたり、あなたを責めたりするかもしれません。しかし、そこであなたが「でも私だって大変なの」「友達の夫はもっと協力的よ」などと絶対に言わないこと、それからあなたが感情的にならないことです。まず、じっくりと彼のウップンや悲しみを聞いてあげることが大切なのです。聞く間は「あなたのこと」に関する責めや怒りはなるべく無視して、「彼の気持」に焦点を当てるようにしてください。「君が子供ばっかりで淋しい」と言ったら「淋しかったんだね」と言ってあげましょう。「君の子供に対する愛情を見ていると、もう僕のことを愛していないと思う」と言ったら「あなたは私があなたをもう愛していないって感じたんだね」と言うのです。「そんなことない、私だって辛いのよ」「夫婦だから愛してるに決まってるでしょう」「私にはシャワーを浴びる時間もないのに!」などの返事はケンカをもたらします。夫が何を感じていたのかを知ったら、やっとそこでどうすればいいかの解決策が考えられるのです。夫の本心を知ることなく推測で機嫌を取るようなことをしてもピント外れで余計状況を悪化することにもなりかねません。あなたがあなたの大変さを話せるのは、彼が「やっと僕のことをわかってもらえた」と得心してからです。相手の話をちゃんと聞けて理解し合える夫婦になるのは簡単ではありません。聞く練習、話す練習を重ね、喧嘩にならずに何時間も話しあい、問題解決ができるチームになれるのです。

また、ベビーシッターをしてくれる人や、助けてくれるような人がいない場合、二人で全てをまかなわなければならないのは大変なストレスであることも頭に入れて欲しいと思います。これは核家族化の問題で、努力してサポートシステムを作らなければ、「すべて自分でやらなければならない」プレッシャーに押しつぶされてしまいます。疲れたら助けてもらう、適当にやる、簡素化するという工夫をしてください。カウンセリングに行くのは自分たちで以上のような練習をやってみてからです。


日本の地震にショックを受けた子供への対応
質問
今回の東日本大地震は、大変悲惨で恐ろしいものです。日本の家族は一応無事だったのですが、アメリカにいてもTVなどをみて悲しくて恐ろしくて仕方がありません。5歳と8歳の子供がいるのですが、彼らも被災地の映像にかなりショックを受けているようです。どのように対応したらよいでしょう。

回答
おじいちゃん、おばあちゃんなどの家族が住み、楽しい里帰りの思い出が沢山ある日本での今回の悲しく恐ろしい災害は、子供達にとっても大変ショックなことに違いありません。ご家庭で心のケアをされることは、お子さんの精神の健康を保つ為に大変重要です。以下の対応をお勧めします。

  1. TVやインターネットなどで必要以上に災害のシーンを子供に見せるのは控えましょう。何度も繰り返し見ることによってより一層恐怖心をあおることもありますし、自分は何もしてあげれないという無力感を増長させる可能性もあります。

  2. 子供の気持ちを自由に表現させ、聞いてあげましょう。子供それぞれにいろいろな感じ方があって良いのです。「そうだねー、悲しいねー」「ほんと怖いねー」など言って、どんな感情も否定せずに受け止めてください。子供に無理強いする必要はありませんが、あなたが感じている気持ちを少し話してあげると子供も気持ちを話しやすくなるかもしれません。

  3. 絵を描かせたり、人形などを使って遊ばせることで自然に心の中を表現することもあります。

  4. 子供が質問するときは、子供の理解出来る範囲内で出来るだけ単純明快に事実を答えてあげてください。就学時のお子さんは、学校などでいろいろと話題になっていることでしょう。子供達の会話の内容が必ずしも正しいこととは限りません。話が誇張されてしまっていることもありえます。「今日本はどんなことが起こっていると思う?」というように聞くと、子供がどのように理解しているか分かりやすいでしょう。事実でないことは訂正してください。

  5. 寝る時に本を読んであげたり、お話したり、安全と愛情を実感できる時間を出来るだけ増やしましょう。

  6. 家族のアクティビティーを増やすなどして家族との繋がりを高める時間を過ごしましょう。

  7. できるだけいつも通りのスケジュールで、栄養のあるものを食べさせ、良く睡眠をとらせましょう。

  8. お子さんとの約束を守り、計画したことは実行するなどして、人に対する信頼感や未来に対する安心感を持たせてあげましょう。

  9. 上のお子さんには、こづかいを募金をするなど本人の意思でやらせてあげることも良いでしょう。今は実際には送れないかもしれませんが、その時の為に、日本の家族に手紙や絵を書くなどもいいでしょう。

  10. 多くの人々が救済に必死の努力をしていること、皆の力を合わせておこなわれていることのすばらしさも伝えてください。

  11. あなたが、精神的に健康であることがお子さんの心の健康にも大きく影響します。あなた自身の体と心のケアも忘れずに。



バイリンガル教育の現実
質問
8歳の母です。子供に英会話教室に行かせたり、家でも英語のビデオを見せたり、英語で話しかけたりしているのですが、友達とサッカーをしたりゲームや漫画の方が好きらしくほとんどやる気がありません。夫は協力してくれるどころか、「学校でちゃんと勉強をしているのに、そんなことをする必要はない」と子供と一緒にゲームをする有様です。英語ができればこの子の将来に有利なのに、早く真剣に取り組まなければと焦るばかり。いっそのこと、インターナショナル・スクールに入れた方がいいのでしょうか。

回答
移民の子供たちを対象に、第二言語としての英語をマスターするのに最適な子供の年齢を調べたアメリカの研究があります。普通、若ければ若いほどいいと思われがちですが、第一言語をマスターしていない7歳以下の子供は、それができている年長の子供よりも、英語を習得するのに時間がかかり、最適とされる8歳から12歳でも、アメリカ人生徒のレベルに達するのに4年から5年かかったそうです。発音だけなら若い方がいいのは確かですが、読解力、解釈力、文章力となると、第一言語がきちんとできていなければ、第二言語も取得しずらくなるわけです。

次にアメリカ在住の日本人生徒はどうでしょうか。日本語の幼稚園に行って、小さいうちは日本語を流暢に話していた人でも、現地校の小学、中学と上にあがるにつれ、本人がそれほど日本語に興味がない場合、英語がメインになっていく人がほとんどです。すると、子供は英語で話し、親は日本語で話すというパターンになり、お互いが「相手の言っていることが100%わからない」という状態になります。そしてそれは他の人種の家族にも見られる現象で、親子間に誤解や疎外感を招き、非常に淋しいものです。

こうして考えると、バイリンガル教育にはいくつかの注意点があります。まず、日本語がしっかりとマスターされてから始めること。第二は、学校でも英語、友達とも英語という「英語環境」に子供が育つと、子供は英語でモノを考えるようになるという点です。そうなると、子供は、簡単な日常会話なら日本語でできても、複雑な内容になると英語でしか説明できないということになるのです。子供の使う言い回しや単語がわからなければ、親はどう感じるでしょうか。もし、子供にバイリンガルになってもらいたいなら、親も英語を勉強しなければ、大切な親子関係に「言葉の壁」が立ちはだかってくる可能性があるのです。

お子さんが元気で、友達もいて、学校の勉強もやって、お父さんとも仲がいいのは大変素晴らしいことです。本来ならそれで十分です。今の時期、大切なのは、親子間でのコミュニケーションをしっかりと確立することです。子供がお母さんと話したいと感じ、お母さんは子供の話をちゃんと聞いてやること、それが達成できることの方が、将来、この子のためになるのです。それに、今からこの子の将来を、英語ができて有利な職種に特定しないことです。子供が英語を使って何かがしたいと思ったら、その時勉強すればいいのです。

子供の話を聞き、子供の世界を理解できる親は、子供から信頼され尊敬されます。そして、親との会話を通じて、子供は人生を学ぶのです。まず、日本語でしっかりと中身のある会話ができる親子になってください。


ティーンエージャーの娘が心配
質問
これまで15歳の娘とは私の友達にうらやましがられるほど仲がいい親子だったのですが、最近彼女は私を避けるようになりました。一度連れてきたボーイフレンドのことで私が注意してから、そんなふうになったような気がします。小さい時から、彼女がやりたいと言ったものは何でもやらせてやったし、ダンスに水泳に、彼女のために私がしてきたことは言葉では言いつくせないほどです。娘が年頃になったら二人で買い物に行ったりいろいろ楽しみにしていたのに、何も話してくれなくなった娘を見ると淋しくてしょうがありません。ボーイフレンドと付き合うようになって成績は下がるし、ダンスも辞め、友達といる方が楽しいらしく家にもいたがりません。なんとか昔の娘に戻す方法はないでしょうか。

回答
12歳までは、友達を作る、学校や活動でいろいろなスキルを学ぶ、与えられた課題をこなす、などが大切ですが、12歳から18歳程度までは、友達のグループに入る、異姓との交際、精神的な成長などが大切なテーマになります。友達に受け入れられること、彼ができることの方にエネルギーが向くので、それまでやっていたことが中途半端になったり興味がなくなることもあります。親との関係は、「いて欲しいけど干渉して欲しくない」微妙な状態です。この点から考えると、娘さんはごく普通のティーネージャーの生活を送っていると言えます。

しかし、あなたは、彼女の成績が下がり、ダンスも辞め、あなたへの態度が悪くなったことを、「普通の十代の変化」とは見ずに、ボーイフレンドの悪影響のせいだと思い込んでいるようです。友達もいて彼もできて青春している自分を認めてくれず、よく思ってくれない母親をうとましく思うのは当たり前です。

確かに、アメリカで、実家や親戚や友達のサポートが皆無に近い状態で、外国人が子育てするのは大変なことです。お稽古ごとにも車で送り迎えが必要で、いろいろな活動をさせようとすると、母親は必然的に子供を中心に生きるようになり、子供の成長と達成が唯一の生きがいになります。しかし、子供が成長し、親から離れて行動したがり、親の思うようにしなくなると、それが母親にはこれまで娘にやってきた努力への裏切り行為のように感じてしまうのです。日本人の母親で子供を精神的に手放せない人が多いのはこういう背景があるのです。

アメリカで、非行もせず、ドラッグにも手を出さず、友達がいない孤独な状態でもなく、健康的な成長ができている15歳の娘に育てたのはあなたです。それはとても立派なことです。あなたがやってきたことを認めて、彼女の成長を見守ってあげましょう。

もし、ボーイフレンドが彼女に合わない人だとしても、その問題を解決するのは娘さんであり、あなたではありません。失敗をしてつまづき、なんとか自分で解決し、そこから学ぶことは人生には必要です。子供の失敗にいちいち親が介入して、常に親の思う通りの結果を子供に求めるのは、子供の自立を妨げることになります。


子供が現地校でいじめられています
質問
10歳の息子のことで悩んでいます。アメリカには夫の仕事の関係で1年半前に来ました。今でも息子は英語があまり上達せず、学校生活にあまりなじんでないのではと心配していました。家に帰って来ても元気がないのでどうしたのかと聞いてみたところ、「なんでもない」の一点張りでしたが、先日ポツリと「友達から仲間はずれにされている」とうち明けてくれました。その場では「でも、リトルリーグのお友達がいるじゃない。学校でも自分からみんなに話しかけてみてはどう?」と励ましたのですが、実は胸が張り裂けそうなほショックでした。なんとか息子を勇気づける方法はないでしょうか。

回答
仕事の為とはいえ、親の都合で連れてきたお子さんが、慣れない環境で苦労するのを見るのは、さぞかしお辛いことと思います。胸がはり裂けそうなショックを隠されて明るく勇気づけられたあなたは、思慮深いお母様です。

アメリカの学校に一年半通い、リトルリーグにも参加している息子さんは、元気でがんばりやな子供です。感情中心に動く子供の世界は、大人の世界以上に厳しいものです。仲間はずれにされたことのない子を捜す方が難しいくらいです。まして、異文化で、言葉が十分にできないと仲間はずれにされるのは当然かも知れません。一番大切なのは、つらい心も悲しい気持ちも聞いてもらえる、自分を受け入れてもらえる、安全で安らげる家があるということです。ポツリとでも打ち明けてくれたということは、心を開いてくれたということです。「そうか、つらかったねー。くやしいね。話してくれてありがとね。」などと言いながら息子さんの気持ちを聞いてあげてください。無理に励ますことも必要ないと思います。そして、「先生の言っていること少しわかるようになったんだ、すごいね。」「こんな文章も読めるのね、Rの発音上手だね。」などと 何か事あるごとにがんばっている息子さんをほめてあげてください。現地校に毎日通っていることだけでもすごいことです。クラスメート達は、英語は話せても日本語は話せないのですから。

渡米一年半ということですが、適応の速い子供といえども、そう簡単に英語がアメリカ人の様に話せるようになるわけではありません。語学の習得は奥深く、個人差もありますが、とにかく時間がかかります。他人と比較することなく、ゆっくりと進んでください。ご主人にもあなたにも、英語をうまく話せず困ったことや、言葉や発音を間違えてはずかしく思われた経験などいろいろあると思います。ご家庭で、そんなアメリカ生活の苦労話や、失敗談などを明るく話されるのも、子供は「自分だけじゃない」と思えていいかもしれません。まだたった一年半、日本で育った日本人なのですから、英語が出来なくて当然、アメリカ人と簡単に仲良くなれなくて当然、と考えて良いのです。

流暢ではない言語環境のなかでは、自信をなくしがちになったり孤独を感じたりするものです。言葉をあまり使わずに楽しめるもの、自信を持てるものがあることはとても大切です。野球が好きならどんどん練習させてあげてください。夕方や週末などに、お父さんと一緒にキャッチボールや素振りの練習などするのもいいでしょう。親子の絆も深まりますし、大きな励みにもなるでしょう。また、日本で仲の良かったお友達と電話やスカイプなどで連絡を取り合うのもいいかもしれません。

厳しい子供の世界ですが、言葉が出来なくても、スポーツや遊びなど何かのきっかけで仲良くなることも多々あります。ご家庭の負担にならない程度で、チームメイトやクラスメートを招いてプレイデートをしたり、学校やリトルリーグの行事にご家族で積極的に参加なさるのも良いと思います。アメリカ人と交流しようと努力するご両親の姿は、子供にとって良い刺激となることでしょう。

大変な経験ですが、この経験によってお子さんは、弱い者の気持ちが良くわかる、視野を広く持った強い大人に成長なさるのだと信じています。


実家の母親の子育ての仕方が自分に影響します
質問
アメリカ人の夫と結婚し、こちらで専業主婦で幼児を育ています。母は厳格な人で、子供の頃体罰を受けたり、厳しく怒鳴られたりして随分といやな思いをしました。働きもので何でもきちんとこなす母を尊敬している部分もありますが、母とは今も近い関係ではありません。ですので、私は母とは違ったやり方でよい子を育てたいと思っています。 良い母でありたいと育児書なども読んで私なりにがんばっているつもりです。ですが、子供をかわいいと思っていても、私の思い通りには行かないことが多く、つい母がしていたように怒鳴ってしまったり、時には、たたきたいという衝動にまでかられてしまいます。夫はやさしく協力的ですが、仕事も忙しいのであまり迷惑をかけたくありません。自己嫌悪に陥る日々で、たまに、プレイグループなどにいっても他のお母さん達が楽しそうに上手に子育てをしているのを見て余計に落ち込みます。どうしたらよいのでしょう?

回答
人間の子を一人育てるというのは、大変なことです。その子の個性もありますし、ペットと違ってその個性、自主性を育て、将来自立して生きていける人間に育てなければなりません。思い通りにならないということは、自主性が出てきたということ、それだけお子さんが健康的に成長しているということです。お母さんとは違う新たな子育てをと、育児書で未知の世界を学ばれるあなたは、十分に良いお母さんだと思います。

ですが、子供は過ちを犯しながら成長するものです。それを責めるのではなく、自主性を尊重しながら指導していくのが親の仕事です。「よい子」にこだわると、よい子でないときは、すべて「悪い子」となってしまい、母子共にストレスがたまります。子供それぞれに良いところ、悪いところがってあって当たり前、他の子と比較できるものではありません。 

同様に、子育ての仕方もそれぞれに長所短所があり、他と比較する必要はありません。他のお母さん達の上手な子育てを見て落ち込むということですが、他の方も不安や苛立ちを覚えているはずです。大変厳しく育てられたということで、完璧なものを求めがちかとも思いますが、子育てに満点はありません。正しい答えも一つだけではありません。真剣に子育てをしていればいる程悩むものです。他の方の良いところを参考にする程度で接されると、他のお母さんと楽しく交じり合え、応援しあえるのではないでしょうか。

お母さんと同じように怒鳴ってしまったり、時折たたきたい衝動にまでかられて自己嫌悪に陥るということですが、人間というのは自分が見てきたもの経験してきたことを、嫌だとは思っていても無意識にやってしまうことが多々あります。その具体的な対応策としては、その時の状況やあなたの様子を自分なりに分析し、その一歩手前で怒りを静める方法、例えば、深呼吸をする、まず頭で数を数えてみるなど具体的な行動パターンを決めると良いでしょう。また、その状況になることを避けるようにすることです。(寝不足の日が怒りやすいのなら、なるだけ睡眠をとる。急いでいる時に怒りやすいのなら、緩いスケジュールを組む、準備を早めにしてしまうなど。)

子供の頃に親子関係で辛い記憶のある人が、自分の子育てと向き合うとき、押し込めていた嫌な感情や悲しみが再度出てくることはよくあります。自分がよい母、優しい母になろうとする時、何故自分の母はそういう人ではなかったのか、優しい母を持ちたかったのにと子供の頃のあなたを思い出し以前以上に悲しくなることもあります。そしてまた、自分が母親業という大変な仕事に直面し、お母さんと同じことをしている自分に気づき、お母さんの苦しかった立場を理解することもあるでしょう。子供は「悪いのは自分で」自分の親はやはりいい親であったと思いたい気持ちが少なからずあるものです。「子供のあなた」の悲しみと怒りの気持ちと「母としてのあなた」のお母さんへの理解が混じりあい、ジレンマに陥ってしまっているかもしれません。こういう場合は、お母さんの子育てがなぜああいう風になってしまったのかを客観的に理解してみるとよいでしょう。お母さんがあなたを育てていたときの状況、彼女の結婚生活、そして生い立ち(どんな親にどんな価値観で育てられたか)などを分析し、一度お母さんを一人の女性として理解してみることが必要でしょう。そうすることによって、「子供」としてではなく「大人」としてあなたのお母さんの子育てを見ることが出来、「お母さんとは違った良い母になる」という気負いもなくなり、あなたらしい子育てをもっと楽しめるようになると思います。

子育ては、楽しいこともたくさんありますが、思い通りにはならない孤独で疲れる単調な仕事です。必ず周りのサポートが必要です。一番のサポートはもちろんご主人です。専業主婦として、仕事が忙しいご主人に遠慮なさっているのかもしれませんが、あなたの幸せはご主人やお子さんの幸せでもあります。家事や子育てなどいろいろと手助けしてもらってよいのです。協力的な方ということなので、ご主人も父親として子育てにもっと加わりたい、相談して欲しいと考えているかもしれません。

完璧な母親も子供も子育てもないことを念頭に、あなたが子育てを楽しまれるとき、育児書で学ばれたことがより一層活躍できることでしょう。少し息を抜いてかわいいお子さんとの時間を楽しんでみてください。あなたらしい子育てを楽しまれることが、結果、お子さんの成長に良い影響を及ぼすはずです。


11歳の娘の反抗的態度に悩んでいます
質問
11歳の娘のことでで悩んでいます。小学校低学年の時から先生に言われていたのですが、先生に対して反抗したりして尊敬しないところがあります。先生だけではなく友達や親に対しても態度が悪いのです。そのことで叱ると反抗してきます。先日も叱った後二度と顔を見たくないと言われ、自分の部屋に行き本を読みなさいと叱ったのですが、知らない間になんと家を出ていました。態度が悪いことを指摘されるたびに家を飛び出すのではと思うと心配です。将来社会に出たとき、このような態度では誰も相手にしてくれないということを説明したいのですが、どうもうまくメッセージが伝わってないようです。どうしたらいいでしょうか?

回答
小学校の低学年からこういう態度であるということは、何年もこういうことが続いているというわけです。昔の日本なら、親や先生への尊敬は当たり前のものでしたが、最近は、学校でも家でも、大人が子供の機嫌を取り、子供中心の生活になってきているので、年々、難しくなってきているようです。

ここで、いくつかの質問があります。彼女の反抗的な態度が始まったきっかけは何かあったのでしょうか? それとも、もっと小さい時からの性格なのでしょうか? 彼女は何を怒っているのでしょう。どんなときに、どんな人に反抗し、どんな人の話なら聞くのでしょうか。娘さんが考えていること、感じていることを、「絶対に叱らないから」と前置きを何度もして、根気強く聞き出すことです。ここで、「お前の話はわかった、でもね・・・」と聞き終えると同時に説教をするのは絶対にしないことです。また、「こんなことでは、将来誰も相手にしてくれないよ」というのも脅しであり、そんなことを言われなくても彼女は十分わかっています。娘さん側には、ちゃんと理由があり、原因があるのです。彼女の話が「ああ、なるほど、そういうことなのか」と理解できるまで聞くことです。もし、娘さんは、親にも先生にも話さないというのであれば、祖父母、おば、おじ、近所のお姉さん、誰でもいいので、「この人とは話しているようだ」という人を介しても、この子の気持ちを知らなければ前に進めません。

子供は親を見て育ちます。親の結婚はうまくいっていますか?そして、他にもきょうだいがいるとしたら、彼らとの関係や、彼らの親との関係はどうでしょうか。父母の間の子育てに関するポリシーは一致しているでしょうか。そして、父母の生活態度は、子供から見て尊敬できるものでしょうか。この場合の尊敬とは、立派な仕事に就いているとか、高給であるとか、いい家に住んでいるとかいうものではなく、父母の言動は一致しているかということです、つまり、子供に言うことと、自分たちがしていることは一貫性があるのかということです。子供と理解しあうのは簡単ではありません。しかし、親が、一生懸命、娘を理解しようと努力している姿を見せることが、彼女の気持ちを軟化させる一番のものなのです。


フルタイムで働く母ですが、子供に優しくできず悩んでいます
質問
小学生6年と4年生の母親です。子供にやさしくしてあげられなくて悩んでいます。宿題など聞かれるとすぐ”なぜ解らないの?”と子供を叱ってしまいます。”お母さんはいつも怒っている”と子供達も言ってます。いつも反省するのですが、どうしてもやさしくできません。”友達が来てる時ぐらいやさしくして。”とも言われます。私はもうすぐ40歳。フルで働いてます。主人はアメリカ人ですが、家事や育児には全く協力的ではなく、それもストレスになっています。

回答
とても疲れていらっしゃるようですね。フルで働いて、家事も育児もというのは大変だろうと思います。アメリカはデイケアが普及し、女性が母親になっても働くのがあたりまえのようになり、女性の地位が向上したように見えますが、実際に家事や育児を大部分負担しているのは、依然として女性、という家庭は多いのです。今のあなたの働きぶり、責任の多さを考えると、「子供にやさしくしてあげられない」ことが当然かもしれません。一日が仕事とやるべきことで終わってしまう日々が続いているのではありませんか?一週間のうち、2時間でもいいから自分のための時間を作ってあげてください。何かあなたが好きなこと、楽しいこと、うれしいことをしてください。もし、そんな時間を作るのは不可能です、と思われるなら、ご主人に「私が2時間、自分のために一人になることが、子供のため、あなたのためにもなるのだから、協力してね」と頼んでみましょう。まず、あなたが生活の中に喜びを見つけることが、何よりも優先です。子供にやさしくするのはその後です。なぜなら母親は家庭のカナメだからです。いい母親は家族のためにのみ生きる人ではありません。いい母親とは、まず、幸せな女性であるべきです。40歳という年齢も、きっと大きな意味を持っていると思います。人生85年として、今からいろんなことができますよ。子供の将来だけでなく、ご自分の将来にも絶対に夢を持ってください。きっと、まだたくさんやりたいことや、やってみたかったことがあると思います。まず、一週間に2時間から始めてみてください。きっと何かが変わっていくはずです。それと、疲れたら休んでくださいね。


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